第22話 ベルグラム帝国の帝都混乱



 ベルグラム帝国は、エスパーニャ王国と高い山脈を挟んで西側にある大国だった。


 帝国は、山脈を越えるルートと、海を船で渡って来るルートの二通りのルートを使って進行を始めたらしい。


 戦場となるのは、王都から見ると西側のサンマリーナ公爵領となる。


 私はサンマリーナ公爵領の防衛に回る事になったけど、私は帝国をどうしてやるか考えていた。


 帝国は、この大陸の三分の一の面積を誇る大国だ。


 ただし、この私がいる国に攻め込んだのが運の尽きだったわね。


 私は戦闘で亡くなった帝国兵を使って蘇生の実験を行ってみたんだけど、遂に蘇生時に性転換が出来るようになったのだ。


 私は、この戦争の早期解決のため、帝国を中枢から掌握してくる事にした。


 戦争なんて不毛な戦いは、頭を潰せば終わりになる。


 戦争を仕掛けてきたのは帝国なので、私は帝国をやりたい放題に蹂躙してくる事にした。


 私は教祖の仮面を被り、アマンダお姉様とセルフィーさんにも仮面をつけてもらった。

 目指すは帝国の帝都。どこにあるか知らないけど、と思っていたら親切な人が教えてくれた。


 セルフィーさんも覚えた飛行魔法で帝都までひとっ飛びで到着すると、摩天楼の様な帝都が見えた。


 その中心部には一際大きいお城があった。


「あそこね」


「流石に大きい城ですね」


「アトロポス出番よ?」


 私が女神の名を呼ぶと、黒い翼を広げた黒髪ロリ体型のアトロポスが現れた。


「やっと出番か?」


「戦争を起こして城で司令を出している奴らに地獄を見せてやって?」


「殺していいのかぁ?」


「後で蘇生するから、帝都丸ごと一気にやちゃって?」


「よっしゃぁ!任せろ!」


 その日……一柱の女神によって帝都は壊滅した。


 女の子は、優しくしてあげてね?


 私は誰もいなくなった帝都の城に降り立った。


「なんて子だい……全く女神の力っていうのは……恐ろしいねぇ……」


 アマンダお姉様は、倒れている兵士を一瞥して呟いた。


「これは、戦争なのよ?」


 偉い奴は大抵上の階にいるので、上から捜索を開始したら豪華な服を身に纏った金髪で子供みたいな背格好の皇帝と見られる人物を発見した。


「クロッティ!」


「はーい!」


「この人は、皇帝?」


「この人は責任者だよ?」


「ああ……皇帝で間違いないよ?若い皇帝ヨルン・ベルグラム。若すぎるが故に野心家との評判だったけど……あっけない最期だったね」

 

 アマンダお姉様は、皇帝を知っている様だった。


 皇帝にしては若すぎる。私とさほど変わらない年齢の様だった。



「クロッティ?性転換蘇生行くよ?」


「いいよー♡」


 私はクロッティの力を借りて、性女の力で性転換蘇生魔法を皇帝に使用した。


12歳くらいに見える皇帝ヨルンの胸が、大きく膨らんで行き、完全に女の子に変化した。


 私は念のため、予め作っておいた従属の首輪を皇帝にはめてから、皇帝の頬を平手打ちにして起こしてあげた。


 私が生き返らせた時点て、逆らえない様にはしてあるんだけど、見えた方が分かりやすいでしょ?もちろん外した所で意味はないんだけど。


「ほら、起きなさい?」


「くはっ……!!はぁ!?な……何だ!?お前らは!?余の部屋に勝手に入るとは!」


「私は百合の女神ユリィ……」


「この!変な仮面を被って……怪しい奴め!捕らえて拷問にかけてやる!」


「それは無理だよ?この国の人は全員死んでるから?」


 もちろん、いないのはこの帝都だけだけど……。


「何を世迷い事を!」


「なら確認してみなさい?」


「分かった!余が確認するまで待っておれよ?」


 私の命令には逆らえない。しっかり機能しているようね。


 しばらく待っていると、皇帝ヨルンが戻って来た。グシャグシャに泣きながら。


「ひっく……みんな死んで……動かないじゃないか!お前か?お前がやったのか?」


「あなたも一回死んでるわよ?自分の体……確認した?」


「何を!?なんだ!?女?余が女になって……」


「可愛いわよ?ヨルンちゃん?」


「女になっておるではないか!!貴様は何者なのだ!?」


「私は女神、この国に罰を与えに来たわ」


「罰だって!?」


「戦争を起こした罰として、女の子になる呪いをかけたわ。また戦争なんて野蛮な事したら今度は本当に死ぬから。その体で良く考えることよ?」


「女神様だと?死神ではないのか?」


 もう面倒くさいから、私は皇帝を気絶させると、帝都の上空へと戻った。


「クロッティ!帝都の人全員にお願い!女の人はそのまま蘇生で、男の人は性転換蘇生だよ?」


「いいよー」


 やがて……帝都の男の人は全て女の子になり、全ての人が生き返った。


 帝都の人は全て、皇帝や宰相含め全員が女の子、すなわち十歳くらいの女の子になったのだから大混乱に陥ったのだった。


後は、男の人が帝都に入れないように男子入国禁止結界を張り巡らせれば、乙女の帝都の完成よ!


 男が入って来たら折角作った百合の園が蹂躙されてしまうから、私は結界で守る事にしたのだ。


 そして「姫蜜百合の会」は、帝国を拠点に凄まじいスピードで信者を増やしていく事になったのだった。



◇◇



 一方、エスパーニャ王國の教会では、一年前フルセント村で起きた奇跡により、新たに出来た宗教、女神教に信者を取られつつあった。


 そもそも、教会の教義は神様が聖女様をお作りになられたとか、聖なる力は神の恩恵によるものとか、よく分からない。


 実際に奇跡を見た人は、女神を信じるだろう。


 聖女も女神も私なんだけどね。







読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。



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