第21話 王都での活動開始



 今日はセーラの入学式だ。


 セーラは、新しい紺色の制服を着ていてとても可愛い。私の部屋にお持ち帰りしたいくらい可愛い。


 魔法学園には5年間通う事になり、貴族の子女はこの学園で青春時代を過ごす事になる。


 ……と共に、在学中に婚約者が出来なければ、行き遅れとなる確率がグッと上がってしまうのだ。……男の方には興味は無いけど、恋愛結婚は難しいんじゃない?


 だからセーラとライリーちゃんは、私が入学前に予約しておいたのだ。


 第一王子は三年生なので、婚約者を決めるのに必死かもしれないし。


 ただ私がずっとライリーちゃんを見張っている訳にもいかないので、アマンダお姉様に相談したら、誓約の指輪という物を作って渡せば良いとアドバイスを受けた。


 そして、私はアマンダお姉様の指導の元、誓約の指輪を作成した。


 誓約の指輪の付与効果は、私との婚約。

 要するに婚約指輪となる。誓約の指輪には、私以外の他人と婚約しようとすると拒絶する効果がある。


 また、追加効果の貞淑の効果で、悪意を持つ男性は一メートル以内には近づく事が出来ない。また生命の危機には、自動的にクロッティの効果が発動する。


 誓約の指輪は、もう一つ作ってあるので、セーラにプレゼントする事にした。


「これでセーラは、私の婚約者ね?」


「いいんですの?このような高そうなもの……」


「これはセーラの為に、私が心を込めて作った婚約指輪なのよ?絶対に肌身離さず付けていてね?」


「分かりましたわ♡……マリィの婚約指輪。とっても嬉しいですわ♡」


 セーラは顔を綻ばせて、とても喜んでいた。


 ライリーちゃんには事前に渡して来たので、二人が学校に行っても少しは安心出来るようになった。


 入学式に私は参加出来ないので、ライリーちゃんを見送ってしまえば……私は暇になる。シーナちゃんと遊んでもいいんだけど、私はこの機会に、このゲーム「救国のエスパーダ」の設定を見直すことにした。



◇◇



 ゲームの名前に救国とあるのは、この国に伝説があるからだった。その伝説とは……。

「聖剣エスパーダを握ったもののみがこの国の救世主となれる」という、言い伝えの事を指している。


 さて……その聖剣だけど、今は何処にあるのか?と言う話だけど、表向き世間一般的には、聖剣は教会が管理していて、宝物庫に仕舞われている事になっている。


 ところが、実は聖剣の場所は誰にも分からないのだ。


 そう、ゲームでもそうだったけど、聖剣は聖女にしか場所が分からないようになっている。


 聖剣は、争いの種にしかならないけど……聖女と聖剣との関係は一対一。よって聖剣を扱えるのは、聖女が愛した人だけ……となり、聖女の争奪戦が加速していくことになる。


 そんな聖剣だけど、私は既にある場所を知っている。それに……私が好きな人は女の子だけだ。だから聖女の争奪戦などは起こさせないし、起こさない。


 聖剣は王都の地下に、聖女しか入れない場所に保管されていたので、前の聖女が自分の保管庫として利用していた場所だろう。


 保管庫には、聖剣の他にも聖女しか使えないアイテムが沢山あったので貰っておいた。


 そう、聖剣は既に私が持っているのよ?


 聖剣は聖女の愛した人しか使えないんじゃなくて、聖女にも使える剣だった。


 多分聖女は、回復役だから、昔の聖女は剣を扱う事はしなかったのだろう。


 そして、私は剣術を習う為に、剣術指南を受けることになった。



◇◇



 私の剣術の師匠になってくれた人は、王国騎士団所属のサマリエさん。


 サマリエさんは女性用の騎士の鎧をまとっていて、紺色の髪を一つに纏めて三つ編みにしていた。そして、その瞳は海のように青かった。


「マリィは筋が良いな。それでまだ10歳だとか?先が末恐ろしいよ。あと、木剣での毎日の素振りは忘れるなよ?」


「はい!ありがとうございます!サマリエさん」


「そこは、師匠だ!」


「はい!サマリエ師匠!」


「うん、今日は、ここまでにしようか?」


 剣術の稽古には、身体強化魔法を使っているので、私はサマリエさんの稽古にも何とかついていけている感じだ。


 サマリエ師匠との剣術の稽古は木剣で行うんだけど、自分で訓練する時は、聖剣を使用する。木剣より聖剣の方が軽くて扱いやすいのだ。


 普通、実剣の方が金属なので重いはずなんだけど、聖剣は魔法の効果で重さを感じないようになっているみたいだった。


 ただ、聖剣を持っていると目立つので、普段は最近覚えた賢者の魔法、「開いてもボクっス」で聖剣を仕舞う事にした。


 アマンダお姉様に聞いたけど、これは禁書に書かれていたバグ魔法らしい。……ってこれってアイテムボックスだから!「開いてもボクっス」って何?開かなくてもボクなの?   


 でも……これはバグ魔法なので、ちゃんと発音しないと発動しないんだとか……。

 恥ずかしいから、これは詠唱したくない。


 剣術の稽古を終えたら、今度は王都の冒険者ギルドへ行ってSランクの依頼を確認しておく。

 ただ、Sランクともなると指名依頼や強制依頼が多くなってくる。自由が利かなくなってくるのも強い冒険者の悩みともいえる。


 そして、私がもう一つ活動を始めたことがある。


 ――秘密組織「姫蜜百合の会」の開設だ。


 私を会長とした百合を推進する会と、腐女子を対象としたBLを温かい目で見守る会は同一の組織だ。二つを合わせて「姫蜜百合の会」となっている。


「姫蜜百合の会」では、私の正体は伏せられている。いつも信者の前では仮面を被っているし、もちろん聖女だという事も秘密なので会長は正体不明の人物という事になっている。


 現在は信者を募集中であって、魔法学園近郊にある女学園を対象に勧誘を行っている。女学園は貴族向けではなく、一般大衆向けの学校だけど、女の子しか入れないので、需要はあると思う。


 私が行うのは、百合の推進と、BLの推進の両方になる。だって、百合が増えて男が余ったら困るじゃない?


 もちろん推進した責任は取るつもり。必要ならば子供を授けるのも私の役割。


 そして信者をある程度集めたら、聖職者であるシスター達を取り込んでいく計画なのよ?


 シスターは聖職者なので、女同士ではないと恋愛が出来ない可哀そうな人たちなの。私は全ての人に同性恋愛の自由を与えてあげるのよ?


「会長様……私は先輩と付き合っているのですが……先輩が最近冷たいんです……先輩に男が出来たんじゃないかって心配で…………」


「そうね……先輩を一緒に連れてくるといいわ……私がなんとかしましょう?」


「ありがとうございます!会長様!」


 その後にその子が連れて来た先輩は、性生活に不満があると言ったので、私が性女の力で手助けしてあげたら喜んでいたのよ。


 結構、女の子同士の性の悩みは多いのだ。だから私は女の子同士の性の伝道師としての名で呼ばれ、女の子は自分から私の元へ来るようになったのよ?

 

「私……男の子は苦手で……女の子ならいいかなって……」

「私に身を任せるのよ?」


「私は神に仕える身でありながら……同じシスターに恋をしてしまいました」

「いいと思うわ。祝福してあげるから、今度は二人で来るといいわ」


「私、盗賊に辱められてからもうどうしていいか分からなくて」

「可哀そうに……私が全て忘れさせてあげるわ?」



 そして、秘密組織「姫蜜百合の会」は静かに……確実に王都に浸透していった。 

 特に影響が大きかったのが、第三王子と第四王子のBLが発覚してからだった。そのあたりから腐女子の入会人数が爆発的に増えたのだ。どっちが受けだとか、腐った話題は特に多かった。


 そうして、信者を集める日々が続いたのだけど……。


 懸念していた……ゲームでも実際に発生した、隣国ベルグラム帝国との戦争がついに始まってしまったのだ。


 ゲームではマリィは回復役として戦争に駆り出されていたので、今回は聖女無しでの戦争となる。当然Sランク冒険者である私は、強制依頼として戦争に参加することになった。







読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。

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