第17話 王都への引っ越し



 遂にこの日が来てしまった。セーラが魔法学院に入学するため、王都に旅立つ日が……。

 私は10歳、ゲームに登場する年齢になった。


 ゲームでは、マリィは10歳の時に王都へ連れていかれる事になる。奇しくも私も10歳で王都へ行くことになった。


 王都へ行くのはセーラとシーナちゃんとその使用人。また、私マリィとセルフィーさん。アマンダお姉様、アンナお姉さん、サリィお姉ちゃんと、私の彼女と嫁は全員連れて行くことになった。


 シーナちゃんも一緒に来てくれたのは嬉しかった。姉妹丼のシーナちゃんも諦めてないからね?


 ライリーちゃんも今年から魔法学園に通う予定だから、いつでも会えるようになる。


 気を付けなければならないのは、王都にいる攻略対象達。


 第一王子のウィリスは今14歳で学園では3年生になる。第二王子のエクスは2年生。


 第三王子のユミルは来年の入学と、第四王子のエルクは私と同じ年だ。


 また、王国騎士団の団長の息子の筋肉バカのガッシュと、研究が趣味のサンマリーナ公爵家のカインは今年2年生。頭の切れる宰相の息子のティレンは、今年の入学だったはずだ。


 こう考えると結構私も狙われやすいかもしれない。せいぜい聖女だとバレないようにしなければならない。


 この中で第三王子のユミルはブラコンでエルクラブなのでいいとして、第四王子のエルクは私に真っ先に惚れるので気を付けなくてはならない。

 

 第四王子のエルクには是非、第三王子のユミルとBLで幸せになって欲しい。



◇◇



 王都へと出発する日。


 私のお母さんのミリィと、お父さんのハリスが見送りに出てきてくれた。


「忘れ物は無い?」

「しっかり勉強してこいよ?こっちの事は任せておけ」


「うん立派な貴族になってみせるよ?」


 フィナリアお母さんも、今日は見送りだ。


「セーラ、シーナ、マリィ……しっかり頑張るのよ?」


 フィナリアお母さんも子離れするのは辛いだろう。


「では、フィナリア行ってくるよ?」


「お気をつけて……」


 アランが奥様に旅立ちの挨拶を済ませると、私達を乗せた馬車はセルクードの町を出て北へと出発した。


 エスパーニャの王都は北へ馬車でゆっくり行って数日行った場所にある。距離的にはターコイズ公爵領のアンジェの屋敷に行くのとあまり変わらない。


 今回は荷物も人数も多いので魔法で強化したり、速度を上げたりはしない。


 ゆっくりとした旅路となった。


 街道沿いには黄色い花が咲き、街道は踏み固められているのか石なども少なく、馬車が通りやすくなっていた。


「マリィは、王都は初めてですの?」


 セーラが王都に行ったことを聞いて来たけど、ゲームでは何度も行っていたけど実際には一度も行っていない。

 

「うん、そうだよ?セーラはあるの?」


「昔、お父様について行きましたわ」


「シーナもあるよ?」


「ターコイズと同じくらいって聞いたけど?」


「比較になりませんわ?」


「そうなの?」


「似てはいますけど……規模がまるで違いますの」


「へぇ……」


 ゲームでは知ってるけど言わないもん。実際見ないと分からないところも多いし。


「サリィお姉ちゃんと、アンナお姉さんは言わなくても分かるか……」


「ある訳ないでしょ?うちは農家よ?」


「王都?もちろんないわよ?楽しみだわ」


「セルフィーは?」


「何年か……活動拠点にしていましたね」


 セルフィーさんは行ったことがあるらしい。やっぱり冒険者って旅するんだろうな。


 馬車の旅は途中盗賊が出る事も無く、まぁ出てもこちらには最強の賢者とSランク冒険者が2人付いているから問題は無い。今回も護衛はつけていないし。



 そして、数日後……馬車は王都へと到着した。



◇◇



 王都にあるセルクロッド伯爵のお屋敷は、伯爵領にある屋敷と比べても遜色ない大きさだった。むしろこっちの方が大きいかもしれない。


 アランに聞くと伯爵になったので、お屋敷も大きくしたらしい。

 貴族っていうのは見栄を張るものなのだろう。

 伯爵になったら伯爵に相応しいお屋敷が必要になるとか。ちょっと農家出身の私には考えられない。

 

 馬車から降りると、アマンダお姉様がサポートしてくれた。


「ありがとう、アマンダお姉様♡」


「歳はとったつもりだったんだけど……この年でマリィちゃんに惚れてしまった私はどうなのかしら……」 


「大好きだよ?お姉さま♡」


「くぅ……可愛いじゃない?マリィちゃん♡」


 私に惚れてしまったアマンダお姉様の寿命は、もっと伸ばしてあげよう♡

 もう、若さは永遠に出来るのよ?


 アマンダお姉様には、早速私の子供でも生んでもらおうかな?


 私は10歳になり、ついに子供が出来る体になったのよ?まだ早いかな?


 私の嫁第一号は、アンナお姉さんだから……その次にお願いしようかな?


「はぁ……着いたのね?お姉さん疲れちゃったわ」


「アンナお姉さん♡あとでお願いがるの♡」


「いいわよ?お部屋が片付いてからでいい?」


「うん、いいよ?」


 馬車からお姉ちゃんが下りて来た。


「ふぅ……けっこう疲れたわね?マリィも大丈夫?」


「大丈夫だよ?疲れたなら治してあげるね?」


 私は疲労回復魔法を使って癒してあげた。


「ああ……これは気持ちいいわ。ありがとうすっきりしたわ」


 あとでアンナお姉さんにもしてあげよう。


 セーラとシーナちゃんが馬車から下りて来たので一緒に屋敷に入る事にした。

 

「この屋敷は大きいですわ」

「うんおっきいね」


「え?セーラは見たこと無いの?」


「新しくなってからは来てませんもの」

「来てないよ?」


 そっか、新しくしたって言ってたっけ?


 と言う事は、全員初めてのお屋敷という事になるのね?


 お屋敷のドアを開け中に入ると、大きなロビーに大きな花瓶……壊れそう。


 部屋も結構な数がありそうで、もうお城みたいに綺麗な造りをしていた。


 お屋敷に入ったらまず確認するのは、トイレとお風呂だ。


 とにかく探し回ってやっと見つけることが出来た。


「あったよここ!」


「すっごい広ーい!」


 お風呂は10人くらいは入れるくらい広かった。みんなで入りたいな。


 トイレもお風呂の近くにあり、水回りは近くにしてあるようだった。


 あとは、各自の部屋を決めて終わりなんだけど?


 部屋割りは既に決まっていたらしい。私はサリィお姉ちゃんに案内され。部屋に突っ込まれた。

 

「って。お姉ちゃん?投げる事ないでしょ?ぽいって?」


「時間が無いのよ?ごめんね?」


「ええええ!後でキスしてよ?」


「うん、あとでね?」


 サリィお姉ちゃんは、慌ただしくすぐに行ってしまった。まぁ、サリィお姉ちゃんの仕事は、使用人だから仕方が無いんだけどね……。


 となると、アンナお姉さんの仕事も忙しいという事で、私はアンナお姉さんを大分待つことになってしまった。






読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。

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