第15話 ライリーちゃんに気に入られた
フルセント村で出会ったライリーちゃんは、サントルデ辺境伯令嬢だった。
ライリーちゃんは11歳って聞いたので、私の二つ上でセーラと同じ年という事になる。
どうもライリーちゃんは、ファルシアスお兄様の事が大好きなようで、私がファルシアスお兄様の命を救った事にとても感謝しているという事らしい。
なので私の方が年下なのだけど、私の事をマリィ様と呼ぶようになってしまった。
「何てことなの!?素晴らしいです!セルクロッド伯爵様に、マリィ様のような可愛いお方がいらっしゃるなんて!」
「ええ……ライリー様も可愛いと思うけど?」
そう、ライリーちゃんも可愛いのよ!ゲームでは第一王子の婚約者だけど、緑色の髪の毛は胸までのストレートで、サファイヤの丸い瞳が心を締め付ける美少女なの!
フルセント村で彼女を助けたいと思ったのも……彼女がとても可愛かったから、放って置けなかったから。
「うふふ……それにしても、マリィ様は回復魔法がとてもお上手なんですね?」
「少し?魔法は得意なのよ」
「さすが、Sランクの冒険者様ですね!尊敬します!」
ライリーちゃんは目をキラキラさせて私を見つめていた。
「ライリー様は魔法は使えるの?」
「土魔法を少し……嗜み程度ですけど……」
嗜みと言っているけど彼女の魔法は、園芸程度の魔法らしい。
「へぇ……一応は使えるのね?」
私は魔法操作を使って、ライリーちゃんの魔力を計ってみた。なるほど……。
魔力に関しては中級程度の魔力量を持っているけど……彼女の場合は、体内で魔力の流れを阻害する場所があって、それが彼女の魔法を園芸程度にしているみたいね。
「一応なんて……そんな大したものではないので……恥ずかしいですけど……魔法が使えるマリィ様が……羨ましいです」
「ねえ?私が魔法を教えてあげようか?」
「ええ?そんな……いいんですか?私の魔法は園芸程度ですよ?」
「私に任せて?これでもSランク冒険者だから、あ、忘れてたけど、私がSランクなのは秘密にしておいてね?あまり知られたくないの」
「うん、二人の秘密ね?」
「あと、ディックさんにも言っておいて?」
ライリーと二人で屋敷の裏庭に出ると、早速魔法を見せてもらった。
「土よ!えい!」
ライリーが魔力を放出すると、畑の土が耕されたようにふかふかになった。
確かに園芸魔法だわ。畑に使えそう……でも面積が足りないかな?
「ライリー様?ちょっと魔力を分けてあげるね?」
私はライリーに触れて、魔力操作を使ってライリーの魔力の流れを阻害している部分に聖女の力を限定的に発動した。名付けてピンポイント修復異常回復魔法。
私の白い魔力がライリーちゃんの体内の異常個所を修復していく。
「何か……暖かいです」
ライリーちゃんは、気持ちよさそうに目をつぶっている。
「いいですよ?」
修復が終わったライリーちゃんの魔力の流れは正常に戻っている。このまま全力を出すと大変なことになりそうだけど?
「もういいの?」
「もう一度、今度は弱めに魔法を使ってみて?」
「ええ……えっと、土さんお願い!」
ライリーちゃんが魔力を放つと、幅5メートルくらいはある土壁が完成した。
「え?嘘!出来た!?出来たよ?マリィ様!」
ライリーちゃんの魔力量だったらこのくらいは当然ね。
「これが、本来のライリー様の力よ?」
「そんな……嬉しい……マリィ様は、天使様ですか?」
えぇ……天使じゃないよ?聖女だよ?
「あとは、制御の仕方を覚えましょう?」
「はい!」
それから、私はライリー様に制御の仕方を教えてあげた。
さすがに一度では教えきるのは難しいので、何度かに分けて教える事になりそうだと言ったら、ライリーちゃんは私の家であるセルクロッドの家に遊びに行くと言うので、その時に続きをやりましょうという事になった。
◇◇
とりあえず、魔法制御の方法を教えるのもひと段落したので、ライリーちゃんの部屋に戻って来た。
私は、ふと疑問に思ったことを聞いてみた。
「ライリー様は婚約者はいるの?」
「……そうですね……候補はいます」
「やっぱり第一王子?」
「え?何で知っているの?」
なんででしょうね?
「いや……うわさで?」
「……私の母は王家のお姫様だったんです。それで家と王家にはそういった関係が続いているんです」
「へぇ……お母さまは王家の姫だったのね?」
知らなかったわ。それならライリーちゃんは王家の血を引いているんじゃない?
「第一王子のウィリス様は、とても素敵な方ですが……」
「ライリー様は、ファルシアスお兄様が好きなんでしょ?」
「な!……どうしてそれを?」
「見てれば分かるよ?」
これもゲーム知識だけどね?
「お兄様と一緒にいたい?」
「はい……一緒が良いです」
「私もね、お姉ちゃんが好きなんだ」
「え?でも……女の子同士では……結婚出来ないですよ?」
「結婚しなくても一緒に住む事は出来るわ♡」
「え? え?……?」
ライリーちゃんは困惑している。
「ライリー様は、私の事好き?」
私は性女の力を解放した。
「マリィ様は……もちろん大好きです♡お兄様を救って頂いたお方です♡」
「ねぇ……ライリー♡私も一目見た時からライリーが好きなの♡」
「え?……それは……どういう意味?」
「こういう意味よ?」
私はライリーちゃんにキスをした。
「ん……んん……ちゅ♡」
軽いキス……でも愛情を込めた温かいキスだった。
「え?今……何をされたの?」
「キスだよ?恋人がする儀式だよ?」
「そんな……私……困ります……」
ライリーちゃんは赤くなって俯いてしまった。
まぁそうだよね?婚約者が出来そうだし。私も困るよ?
「私はライリーが好き……ライリーも私が好き……ほら両想いならいいじゃない?」
「あ……そうですね……両想いですよね……」
「お兄様と一緒にいたいのなら私の所にくる?」
「それは……どういう事でしょう?」
「私以外の男の人と結婚しないで欲しいの……」
「私はこれでも貴族ですので……それは難しいかと……」
だよねー分かってるよ。私がおかしいのは分かってるの。
「それじゃこうしましょう?婚約しても結婚しても。私達は恋人よ?」
「それではお兄様と離れてしまいます……」
「分かった!お兄様ごと貰ってあげるってのは?」
「え?ええ?」
不本意だけど?攻略対象じゃないファルシアスを壁にしてあげようかしら。
別に男は好きじゃないけど……もし、ファルシアスが私を好きになった場合、ライリーと一緒という条件をつけてやるわ。不本意だけど?
この後、まさかファルシアスが本当に、私に告白してくるなど思いもよらなかったのよ?
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。
続きが気になると感じて下さいましたら、
☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。
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