第11話 アマンダお姉様


 冒険者ギルドでの依頼は完遂したので、依頼完了のサインを貰って、私が聖女である事を漏らさないように念を押してから帰ろうとしたら、アンジェリーナに止められてしまった。


 依頼の通りに、悪夢の呪いの回復方法の調査は、聖女の力で解決して、呪いの解除までしたのだから、追加報酬まで貰える予定だったんだけど?


 曰く、折角遊びに来てくれたのになんですぐ帰っちゃうの?だ。


 って言われても、依頼だし?成功報酬を貰うために冒険者ギルドへ報告しなければならない。

 って言ったんだけど、この町にも冒険者ギルドはあるから、報酬ならばそこで受け取ればよいとの事。元々この依頼は、この町のギルドに依頼したらしい。


「らしいんだけど……どうする?セルフィー?」


「受け取りだけなら構わないでしょう、ただ大金になるので……ギルド口座に預けておいた方が賢明かと」


「だよねぇ」


 私は仕方なくギルドに寄るのは後回しにして、先に隠蔽工作をしておく事にした。


 今回の依頼達成には、聖女の力が必要であったので、私が呪いを解いた事が知れ渡ってしまうと私が聖女である事が教会に察知されてしまう恐れがある。


 だから私はわざと呪文に聖女である事を明示して、他言無用という言葉に乗せたのだ。


 でも……それだけではまだ甘いかもしれない。


 私が力を使ったあの場にいたのは、セルフィーさんを除けば、アンジェリーナの他にユーリエさんにアマンダお姉様の3人。


 因みに私が、アンジェのお祖母様をお姉様と呼んでいるのは、本当に若いから。

 呪いの影響と、多分私の性女の力で若返ってしまったのかもしれない。


 とんだ効果を発見してしまった。


 聖女の力に性女の力の相乗効果で、性機能の回復と肉体の老化を性的な状態異常として修復したのかもしれないけど、まさか若返りの奇跡が起きてしまうとは思っても見なかった。


 若返りはまずい。非常にまずい。


 誰だって死にたく無いし、いつまでも若くいたいというのは、世界中の人の願いでもある。 

 特に気を付けなければならないのが、大金持ちや国王等の権力者だ。もちろん教会の権力者もやばい。


 私は早急に実力を付けて。それこそ世界最強でも目指してやろうかと思った。


 私はアマンダお姉様の部屋に戻り、お姉様に起きた事、これから隠していく必要がある事を相談する事にした。


 アマンダお姉様は、若返った影響もあって、金髪でブルーの青い目がとても綺麗な美人のお姉様だった。


 アマンダお姉様には、呪いの影響で老化が止まった事にしてもらい、それにしては若すぎるけど、社交会などに出席などしない様に念を押して、隠居生活を送っていただく事にした。


 アマンダお姉様は、私が大層お気に入りになられた様子で、私がお姉様と呼ぶ度に抱きしめてくれる。もしかしたら性女の力が効き過ぎたのかもしれない。


 大事な話をすると言って、今はアマンダお姉様と二人きりにしてもらっている。


「マリィちゃんが、私を目覚めさせてくれたのよね?本当にありがとう」


「いえ、アマンダお姉様。依頼をしてくれたのはアンジェリーナ様ですよ?」


 アマンダお姉様は、私を抱擁すると感謝の意をこめて頭を撫でてくれた。


「まだこんなに小さいのに……なんて良い子なの?」


「私は……私に出来ることをしたまでで……」


「それに……マリィちゃんの力は危険だわ。ありとあらゆる貴族達に狙われてしまうもの……今まで隠して来たのもそうなのでしょう?」


「はい……怖いです」


「そう、辛かったでしょう?それなのに……こんな老いぼれのお婆ちゃんの為に……危険を承知で力を使ってくれたのよね?」


「お姉様を助けたかったので……」


「本当にいい子ね……あとこの事を知っている人はいるの?」


「私の元の家族と、セルフィーさん。あと今の伯爵様の家族です。後はこの部屋にいたアンジェリーナ様とユーリエ様ですね」


「マリィちゃん?いい?マリィちゃんが聖女である事はもう、誰にも言っちゃダメよ?」


「助けられる人がいても……見て見ぬふりをしろと言うんですか?」


「マリィちゃん?人には運命というものがあるのよ?確かにマリィちゃんがいれば助かるかもしれない人は大勢いるわ」


「それこそ、死ぬ運命だった人も助かるかもしれないわ?」


 確かに、私は死ぬ運命の人を何人も助けてきた。セルフィーさんにアラン、フィナリアさんにシーナちゃん。みんなの運命は私が変えてきた。


「聖女様というのは、その運命を捻じ曲げてしまうの。それこそ神の奇跡と……人はいうでしょう」


 そう奇跡。私は蘇生という奇跡を何度か使っている。


「マリィちゃんは、人の運命を変えてしまう神様なの」


「そんな……神様だなんて大袈裟ですよ?」


「だから……私に任せて?こんな老いぼれでも、昔は最強の賢者と呼ばれていたのよ?」


「賢者様ですか?」


 最強の賢者って?ええ?アマンダお姉様が!?


「うちの旦那は、もう亡くなってるので未亡人だけど、マリィちゃんのお陰で全盛期の力が戻って来たの……マリィちゃんのお陰よ?」


「私は既に隠居した身。この家にいてもこの若さでは子供達に気を使わせてしまうのも悪いし……私がマリィちゃんを守る力になるわ。生い先短かった私の命、マリィちゃんのために使うから、何でも言ってちょうだい?」


「いいんですか?とっても嬉しいです!アマンダお姉様♡」


「それなら、私のお姉様になって下さい!」


「そんな事でいいのかしら?」


「では、私を弟子にして下さい!私、賢者になるのが夢なんです!」


「あら、聖女様なのに賢者になりたいの?」


「私は、私を慕ってくれる大切な人を守れる力が欲しいんです」 


「ふふふ……益々気に入ったわ、マリィちゃん」


 アマンダお姉様はそう言うと、私の頬にキスをしてくれた。



 アマンダお姉様は若返ってしまったので、この領地での余計な諍いを避ける為、私の護衛という形で身を隠す事になった。


 貴族とは難しいもので、姑が口を出す様になると、ユーリエさんも逆らえないので大変なのだろう。


 という事で、私には最強の賢者の、アマンダお姉様と言う最高の師匠がついてくれる事になったのよ!





読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。


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