第9話 私はセーラが欲しいの



 捕らえた盗賊の尋問により、黒幕がクロズフィルネ男爵という事が判明し、セルクロッド子爵はすぐに手を打った。


 エスパーニャ王国の国王、バーン・エスパーニャ様への報告だ。


 暗殺を企てたともなれば重罪は免れないとの事で、実行犯も捕らえてあり、尋問により犯人も判明しているので、クロズフィルネ男爵の末路は推してしるべしだった。


 後が無くなった男爵が戦争でも起こさない事を祈るけど、既に王国側で手を打ってあるので王国軍も動くとの事だった。


 その後、セルクロッド子爵の暗殺を企て、王国軍に反旗を翻したクロズフィルネ男爵は、爵位剥奪の上処刑されたとの事だった。


 そして、今回の功績により、セルクロッド子爵は陞爵しょうしゃくし伯爵となり、隣の旧男爵領がセルクロッド伯爵の領地に併合される事になった。



◇◇



「アラン、伯爵への陞爵しょうしゃくおめでとう!」


「いえ、これも全ては聖女様のお陰です。ありがとうございます」

「私は手を貸しただけよ?」

「聖女様がいなければ、伯爵どころか……お家断絶の危機でしたから、本当に感謝してもしきれませんよ」


 今日は伯爵への陞爵祝いのパーティーが開催され、私も青いドレスを着て出席していた。


 会場は王都のアランの別邸で、貴族って王都にも家があるのよ。しかもパーティーが出来るほどの広間があって領地の屋敷より広くない?


 今回のパーティーの主賓は、アラン・セルクロッド伯爵で、流石に王様は来ないみたいだけど、アランの側には伯爵婦人のフィナリアさんとサーラちゃん、シーナちゃんと私が付いている。

 アラン・セルクロッド伯爵は白のタキシード、フィナリア婦人は合わせた白いドレスを着ていてとても綺麗だった。

 サーラちゃんも可愛い赤いドレスに、シーナちゃんは可愛い黄色いドレスを着ていた。

 3人並ぶと信号機みたいでちょっと面白い。



 パーティーの出席者による挨拶が始まったようだ。


「セルクロッド伯爵、おめでとう。私は第一王子のウィリス・エスパーニャです。王国を代表して来ました」


 ええええ!?第一王子って攻略対象じゃない?ゲーム登場時は16歳だったから今は12歳くらい?こんなに早く遭遇するなんて聞いてないよ?


「ありがとうございます。第一王子殿下」


 第一王子は金髪碧眼の美少年だった。

 流石は乙女ゲームの攻略対象の本命。半端ない美少年は健在だった。


「そちらの可愛い子達を紹介してくれるかな?」


「では、紹介しましょう第一王子殿下。長女のセーラに次女のシーナです。セーラは10歳、シーナはまだ8歳ですが……」

「初めまして、私はセーラと申しますわウィリス殿下」

「シーナ……です」

「うん、二人とも王都の学園に入学したら私を頼るといい。私は12歳で今年の入学組だ。君達の先輩になる」


「はい、その時は、よろしくお願いしますわ」


「ところで、そちらの青いドレスの可愛い女の子は?紹介してくれないのかい?」


 聖女だってバラさないでね?お願いよ?


「そうでした、こちらは……三女のマリィです」


 え?ええええ!?


「どうも……三女のマリィです?お見知り置きをお願いします?」


「へぇ……マリィちゃんね?その青いドレスがとても似合っていて気になっていたんだ。覚えておくとしよう。また学園で会えるのを楽しみにしているよ?」


「ええ……私も楽しみですね?」


 どさくさに紛れて、私の事は三女と紹介されてしまった。しかも早速攻略対象の第一王子に目をつけられてしまったらしい。

 でむ、第一王子には婚約者がいたはず……。大丈夫だよね?


 その後には、サンマリーナ公爵家からの代理でカイン・サンマリーナ様が来られた。

 紺色の髪に紺色の瞳……そして憂いを感じさせる美少年。

 このカイン様も攻略対象で、カイン様は研究が趣味で、このゲームのタイトルにもなっている聖剣と聖女にしか興味のない人だから、私は完全にスルーされた。


 これで私が聖女ってバレた時が怖い、急に研究対象として粘着して来るから気を付けなければならなかった。


 後は、伯爵だか、辺境伯とか子爵とかが挨拶に来たようだけど……。特に気になる女の子は来ていなかった。

 こう言うパーティーには、令嬢はあまり出席しないのかもしれない。だって、アランには跡取りがいないから来るとしたら娘狙いの男ばかり、という事なの?


 王都でのパーティーも終わり、王都の屋敷では片付けで忙しそうだ。


 私はセーラの部屋で、余韻に浸りながらセーラと二人で寛いでいいた。


「ねぇマリィ?私の妹になるのかしら?」

「聞いてないんだけど?」

「うーん……そうですわよね?」

「セーラは……私が妹になったら嬉しい?」

「もちろんですわ!」


 王国の学園に通うには、身分が平民のままでは通えなかったので、ゲームでも男爵家の養子になる事で学園に通っていた。


 となるとこれも必然という事になるのかな?


 学園に入学するのは12歳から、あと4年もない。セーラはあと2年弱で王都の学園に行ってしまう。セーラの攻略は学園に行くまでの間に終わらせておかなければならない。


 早速私はセーラに、お話しをしてみた。


「セーラ?私はセーラが大好きよ?」

「私もマリィが大好き♡ですわ♡」


「うん嬉しいよセーラ♡」

「私も嬉しいです……わ」


「セーラは、私と結婚してくれる?」

「え?それは……私は貴族ですのよ?結婚相手は自分で決められないのではなくって?」


 貴族って、そうなのよね?でも負けないよ?


「どうして?私はセーラが好き、セーラも私が好きならいいじゃない?」


「でも……」


「私はセーラが欲しいの」


「あ♡……マリィ……嬉しいですわ♡」


 セーラの顔が熱くなって来たのを感じる。

 私は性女の力を発動した。


「セーラ♡キスしてもいい?」

「いや……そんな、はしたない事……婚約者でも出来ませんわ……」


「セーラは私が嫌いなのね?」


「違う!……大好き!大好きですわ♡」


 私は優しくセーラに軽いキスをしてあげた。


「ちゅ♡」


「はぁぁ♡マリィにキスされましたわ♡」


「これでセーラと私は、恋人同士になったよ?」

「恋人……ですの?」


「そうだよ?恋人……もし婚約者が出来たとしても私達は恋人だからね?両思いなんだからね?」


「恋人……分かりましたわ。マリィは私の恋人ですわ♡」


 納得してくれたセーラに……たっぷりとキスをしてあげたら、真っ赤になちゃってとても可愛かった。


 こうして、セーラは私の恋人になった。






読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る