第8話 セルクロッド子爵領へ
私のハーレム計画は、新たな段階へと進もうとしていた。本来ならば10歳で聖女として教会に捕まって王都に連行される所を、8歳で隣の領主を助けた事により、私が聖女だという事が隣の領主のアランさんにバレてしまったからだ。
運良くアランさんはいい人だったので、命の恩人である事を利用して、私はアランさんに全面的に頼る事にした。
あのまま、あの領地にいた場合、私の家族に待っているのは奴隷に落とされ、父は鉱山送りに、領主の息子からの暴力に……特に目をつけられたお姉ちゃんの扱いは考えたくも無い。
だからこの引越しは、私の家族を守る為に私が決断して決めた事だった。
私だけ幸せになっても、仕方がないから。
セルクロッド領は、私が住んでいた
ゲームでは私は
移動に用意してくれた馬車は、秘密裏にセルクロッド領へ移動する為に子爵の紋章などは付いていない一般的な馬車を用意してもらって、御者になる人も厳選して子爵の信用出来る配下を用意したとの事だった。
一応セルフィーさんに、御者や護衛に敵意がないか、調べて貰ったけど……問題は無さそうなので、安心して馬車に乗っていられる。
しかし、相手も用心して次の手を考えていたようで、私達の行く手には、追手が差し向けられていた。
現れた盗賊風の男たち。中には、あの馬車を落とした御者も含まれているらしい。
総勢10人の盗賊達。
こちらにも護衛がついているけど、護衛の数は3人。人数の上でも向こうが上だった。
「マリィ様は中でお待ちを……」
「セルフィー、私も出るわ」
「「「マリィ!?」」」
非戦闘員のサリィお姉ちゃんに、アンナお姉さん達は心配しているけど、私が守られるだけの彼女じゃない事を証明してあげるわ。
私の今の実力では、問題無く倒すことは可能だけど……ちょっと多いから護衛の人が戦いやすいように、減らす事にした。
使うのは重力魔法。半分は地面に縫い付けておき、もう半分は上空へ飛ばしておいた。
「うぐあああ……か……体が重い!」
「た、助けてくれぇ!足が!足が着かねえ!」
「くそぅ!手練れの魔法使いがいやがる!?聞いてねえぞ!?」
地面に縫い付けた盗賊達を、護衛の人が捕らえていった。
セルフィーさんは空中に飛んでいる盗賊を魔法で狙い撃ちして黙らせていった。
程なくして盗賊達は全員捕らえられた。
私はサポートに徹しただけで、戦ったのは護衛の人と、セルフィーさんだ。
特に危ないことはしていないよね?
捕まえた盗賊達は、取り調べをするためにロープに繋いで連行するというので、重力魔法で浮かべてあげた。
馬車には乗せられないし、歩かせると移動に時間がかかり過ぎてしまうから運びやすくしてあげた。
「マリィちゃんって、魔法が上手なのね?お姉さんビックリしちゃったよ?」
そういえば……アンナお姉さんには、私が聖女である事や魔法を使えることを教えていなかったのを思い出した。
「魔法使いのセルフィーさんに、教わっていたんだよ?」
「でも、魔法は教わっただけで簡単に使えるようになるものでもないのよ?」
「そうなの?」
「だって、お姉さんは才能がないから魔法は使えないもの……」
うーん、私は聖女だから……才能だけはあったという事なのかな?
「だったら、アンナお姉さんは、私が絶対に守るからね!」
「ありがとう、マリィちゃん♡」
もはや聖女の枠から逸脱しているような気もするけど……。
私の目標は、女の子ハーレムだから!その為の努力は惜しまない。
聖女を極めた賢者にだってなってみせるよ?
◇◇
私は領主アラン・セルクロッド子爵の家に住む事になった。
そして、領主様の家に住むにあたり、家族には私が聖女である事を打ち明ける必要があった。もちろん私が領主様の家に住む理由が思いつかないからだ。
「マリィちゃんが聖女様?」
「やっぱりそうだったのね?」
私が隠していたのもあり、サリィお姉ちゃんとアンナお姉さんは、びっくりしていた。
お父さんとお母さんは、セルフィーさんが私をマリィ様と呼ぶので、薄々そうじゃないかと感じていたようだった。
そして、私のお父さんとお母さんは、使用人として領主様の畑を任される事になり、サリィお姉ちゃんとアンナお姉さんは、私のお世話係としてメイド服を着ることになるらしい。
セルフィーさんは、今まで通り私の護衛兼魔法の先生だ。
アランの家はとんでもなく大きくて、小さい私にはお城にしか見えなかった。
流石は子爵様と言うだけあって、使用人の数も凄そうだ。
「うわぁ……おっきい」
「ここが、俺の屋敷だ。そして、今日からマリィ様と、その家族のあなた方にも一緒に住んでもらう事になるが……。ん?どうした?」
アランが説明を始めようとすると、お屋敷の中から茶髪でツインテールの小さな可愛い女の子が現れた。その大きな瞳は薄い茶色で……目には涙が溢れていた。
あれ?この子どこかで見た事あるような……。
「お父様!お母様!ご無事でしたか!?」
「セーラ、ああ……もう大丈夫だ。この通り生きてるよ?心配かけたな」
「ただいま、セーラちゃん?お母さんも大丈夫よ?」
「姉さま?シーナも……マリィが助けてくれたから」
「マリィ?」
「そうだ紹介しよう、こちらは、私達家族の命を救ってくれた、命の恩人のマリィ様だ。こっちは俺の娘のセーラで今年で10歳になる」
アランが私を紹介してくれたので私も挨拶を返す。
「初めまして、私はマリィよ?」
「私は、シーナの姉のセーラ・セルクロッドですわ。あぁ……こんなに可愛い子が命の恩人だなんて……なんて運命なのかしら?」
「セーラ、マリィ様は、お前が良く読んでいる絵本や伝記に出てくるあの、伝説の聖女様だ」
「まぁ!聖女様!?」
セーラは、そう言うとぱぁっと顔を明るくして、私の手を取り感激に打ち震えていた。目がハートに見えるのは気のせいかな?
「私!聖女様が出てくる物語が大好きなんですの!本物の聖女様にお会い出来るなんて……私、とっても嬉しいですわ!」
セーラ、セーラ!?思い出したわ!ゲームで出てくるセーラは、確かセーラ・クロズフィルネ。
家族を亡くしたセーラは、あの
ゲームでは、マリィを虐める義理の姉として悪役で出て来たはずだけど?
「そうなの?セーラとは、良いお友達になれそうね?」
「はい!マリィ様?」
「……様はやめて欲しいかな?お友達なんだから、マリィって呼んで?」
「えっと……マリィ?お友達になりましょう?」
「うん、よろしくね?セーラ♡」
セーラちゃんかぁ……茶髪のツインテールも可愛いしぃ……ハーレムに追加したいなぁ。
……でもシーナちゃんも金髪ですっごく可愛いの。
セーラとの挨拶を終えた私達は、その後各々の部屋に案内され、セルクロッド子爵領のアランの豪邸での生活が始まった。
――そして、セルクロッド子爵の家族を助けた事で、セーラは家族を亡くし暗黒面に落ちてクズ愚息の妹になり、そして婚約者となる運命から解放され、人知れずマリィに助けられていた事など、誰も知る由もなかった。
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。
続きが気になると感じて下さいましたら、
☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます