第4話 セルフィーさんに相談する



 セルフィーさんって実はすごい人だった。


 セルフィーさんは、少し大きめの魔物にやられるくらいのただの冒険者だと思っていたんだけど、違ったみたい。


 どうも卑劣な罠にかかって本来の力が出せない状況で、強力な魔物に囲まれたんだとか……良く生きてたよね?


 ……って死んでたんだったね?


 セルフィーさんは魔法使いだった。

 私の家が狭くて入れないと言ったら、魔法で増築して部屋を作ってくれたのだ。


「すごい……」

「この程度の事……マリィ様の奇跡には敵いません」

「そんな事ないよ?絶対にセルフィーさんの魔法の方がすごいと思う」

「ふふふ……ありがとうございます」


 農家の私の家は部屋は多くない。私はお姉ちゃんと同じ部屋に住んでるし、お父さんのハリスとお母さんのミリィも夫婦同じ部屋なので、本当に部屋が余っていない。

 セルフィーさんが増築してくれたのは2部屋と、なんとお風呂まで付いていた。


 やっぱり……あそこで私がセルフィーさんを助けたのは、運命だったのよ?


 セルフィーさんとお風呂場で話し込んでいると、お母さんがやって来た。お母さんは私と同じで、ピンクがかった赤い髪の毛に綺麗な青い瞳をしている。サリィお姉ちゃんも同じだし、遺伝だと思う。


「あらあら、セルフィーさん。こんなにしていただいちゃって……本当にありがとうね?」


「私が勝手にしたことです。気にしないで下さいお母さま」


「まぁ、お母さまだなんて……子供が増えたみたいね?」


 お母さんがセルフィーさんにお礼を言っている。セルフィーさんって年齢は聞いてないけど、小柄で歳もお姉ちゃんくらいにしか見えない。


「それと、私は冒険者ですので家賃は、ちゃんと払います」


「ええ?いいのよ?家も建ててもらったし、これ以上貰っちゃ悪いわよぉ」


「それに……娘の護衛もしてくれるんでしょ?」


「はい、最近は森が物騒なので、是非私に守らせてください!」


「だからいいのよ?お金なんていらないわ……だってここは農家よ?食べ物ならいっぱいあるわ」

 

「それでは……しかし……」


 セルフィーさんは、家賃を払うのを止められて、無料で住む事に逡巡している。やっぱりいい人だ。


「本当ならこっちが支払う方よ?もう、大丈夫だから!」


「……分かりました。では、よろしくおねがいします」


 セルフィーさんは、やっと折れてくれたみたい。



◇◇



 私は七歳になった。乙女ゲームの「救国のエスパーダ」が始まるまであと3年……。でも私がセルフィーさんを助けた事によって、原作のゲームより少し変わり始めている。まずはセルフィーさんが生きている事。


 多分原作では出てこない。


 それに、セルフィーさんに私が聖女だとバレていること。


 これがバレると私の王都行きが早まってしまう可能性がある。


 今教会に連れていかれるのは嫌だ。計画が狂ってしまう。


 あと、思い出したことがある。この町というかここの領主は男爵で、マリィはこの領主と無理矢理養子縁組させられて、王国の国立魔法学校に入学するんだけど、この領主がクズだったのよ。


 マリィは家族を人質に取られて……。


 挙句の果てに両親もお姉ちゃんも騙されて奴隷落ち。

 

 それをここの領主が助けたとか言っていたんだけど、全部領主の自作自演だったって話だった。


 さらにその領主の息子がクズで、お姉ちゃんやマリィまで毒牙にかけようとしてくるんだった。


 しかもそのクズが攻略対象とか、もはや頭狂っているとしか言えない。



 という訳でそっちの対策もしなくてはいけない。



 ここの領主に目を付けられないようにするか、もっと安全な優しい人が領主の土地に移住するか?


 そうだ、ここは私が聖女だって知っている人に相談した方が良いかもしれない。


 私はセルフィーさんに相談する事にした。


「確かに……聖女の力は偉大です。国はもちろん領主もその力を欲するでしょう。どんな汚い手を使ってでも……」


「ですよねー」 


「その為に私がいるのです。マリィ様?私は絶対に貴方をお守り致します!」


「うん……心強いわセルフィーさん」


「さん付けなど、お辞めください。私の事は、セルフィーとお呼び下さい」


 と、いう事で私には、セルフィーという心強い護衛が付いた。


 護衛が付いたことにより、私は計画をもっと早める事にした。自分の強化だ。


 私の百合ハーレムを実現するには、困難に打ち勝つために、もっと私は強くならなくてはならない。

 

 当然そのハーレムには、セルフィーも含まれている。すでに私の配下だし?


 次の日、私は親の許可を得て、サリィお姉ちゃん、私の嫁のアンナお姉さんに挨拶して、セルフィーを護衛に連れて冒険者ギルドへと顔を出した。


 もちろん冒険者として登録するためだ。私は七歳だけど登録は可能とセルフィーから聞いた。


 レベルアップの為に魔物を狩りに行くんなら、折角だから、登録はしておきましょうと言われたのでギルドに来たという事になる。



 セルフィーと一緒に、受付カウンターに並ぶと、二人とも体が小さいので子供が何の用だ?と目立ってしまう。


 セルフィーさんだって冒険者だもん大丈夫!


「はい、次の方?」


 カウンターからは、小さすぎて姿が見えないようだ。


 私とセルフィーは手を挙げてここです!とジェスチャーする。


「ああ……下にいたのね?ではこちらに来て?」


 案内されたのは子供用のカウンターで机も低く作られていた。


「お嬢ちゃん?ここで遊んでいてね?」


 ……って、ここ遊び場じゃない!


「違います!登録に来ました!」


「あ、ごめんなさい?登録するの?じゃちょっと待っててね?」


 はぁ……もう七歳じゃ仕方が無いけど……。


「じゃぁ、こっちの書類に自分のお名前と、保護者に名前を書いてもらってね?」


 これって、完全に子ども扱いでしょ?保護者に名前書いてもらってって何?


「保護者の欄は、私が書きます」


 やったぁ!セルフィーさんが書いてくれるなら安心!


「あの、御子様は保護者にはなれませんが?」


「失礼な、私は大人です!」


 そう言うとセルフィーさんは自分の銀色のギルドカードを提示した。


「え?Aランク冒険者?あなたが……あの小さな妖精セルフィーさん?」


 意外なところでセルフィーの二つ名が分かった「小さな妖精」って。


「そうよ」


「問題ないわ、書けた?それでは登録するので待っててね?」


 暫く待っていると、先ほど受け付けてくれた、お姉さんが、木で出来たギルドカートを持ってきた。


「えっとマリィちゃんはランクDからスタートです」


「審査とかはしないんですか?」


「大丈夫よ?書類提出だけでOKよ?後は信用問題だから」


「そうですか」


「信用されればランクは上がるし、失敗ばかりしてるとランクは下がるし、悪い事をしたらカードは剥奪されて永久追放だから気を付けてね?」


「へぇ……気を付けます?」


 ……こうして冒険者登録は無事完了し、私はセルフィーさんと一緒に魔物狩りへと出かけたのだった。






読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。


これは、百合ハーレムを目指す女の子の物語です。


続きが気になると感じて下さいましたら、

☆☆☆♡にて評価コメント、応援よろしくお願いします。

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