第76話
下り階段は途中で途切れていました。
えっとですね……今、
「えっと……どうします?」
「僕は飛び降りれそうだけど……おゆきさんはどうする?」
逆に、
「小紫はんがおゆきちゃんを抱きかかえて、降りればええんちゃう?」
「僕はそれでもいいけど……」
これは……面倒な展開になりそうです。
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着地は成功しました。しかし……両足の裏はジンジンしています。今の
そして、ようやく痛みが取れると……
まずはコムさん。続いて平安名さんが飛び降りてきました。コムさんはキレイな着地を見せましたが、平安名さんは勢い余ってか……着地の衝撃に膝から崩れるとゴロゴロと転がるのです。
「だ、大丈夫ですか?」
「すまんすまん。大丈夫や……よっこいせ」
平安名さんは、そう言いながら立ち上がりました。さあ、これで地下室に三人が並び立ちましたね。それでは……探索を始めましょうか。
とりあえず周囲には……何もありません。広さは先程の広間と同程度でしょうか。しかし、この地下室には無数に扉があるわけでもなく……広間と比べれば……何もないと言うのが相応しく思えますね。なんだかんだ言っても、あの広間には人を迎えるような雰囲気はあったのですが……この地下室の壁は味気のないコンクリートが無装飾のままなのです。
あと、強いて言えば……部屋の中央。そこには円形の柱が生えていました。
「ああ、その柱は煙突やで」
でも、普通……煙突って暖炉から生えてたりするものじゃないでしょうか。となると……実はこの地下室の下には部屋があって、そこに暖炉があるのかもしれませんね。これ……ひょっとして、とても重要な情報だったりするんじゃないでしょうか。それでは、さっそく確認をしてみましょう。
「その柱……じゃなくて煙突は何処に繋がっているんです?」
隠し部屋の気配を感じた
「見りゃわかるやろ。床や」
「いやいや……だって、それじゃ煙突の意味がないじゃないですか」
平安名さんからは、求めていた解答が引き出せませんね。ここはなんとか食い下がってでも……隠し部屋の存在を認めさせてみせますよ。
「せや、意味なんてあらへんで。そもそも、これは煙突の役割どころか柱の役割も果たしてへんのや。これは。煙を排出するわけでも、荷重を支えとるわけでもあらへん。ほんまもんの無用の長物なんや。でも、だからこそ……芸術って感じがせーへんか?」
あれれ……言われてみれば、そんなような気がしてきました。すごい芸術なんですねぇ……。
って……いつの間に隠し部屋を認めさせるどころか、この無用の存在を芸術だと認めさせられそうになっていました。平安名さん、やりますね。
さてさて……地下室の捜索はそろそろ打ち切りでしょうか。これ以上、特に何も目を引くものはありません。
「これ……どうやって戻ったらいいんでしょう?」
そもそもですが……この部屋には3m程の高さから飛び降りてきました。そして、この地下室の捜索の結果……目ぼしい物は発見できませんでした。それは隠し部屋だったり、隠し通路も含みます。つまりですね……戻るには、あの階段に戻るしか手段がないのです。|
「どうしようね。とりあえず、担ぐから……おゆきさん、階段登って見てきてよ」
「へ? ……うわ!」
コムさんはそう言うと、いきなり
「届かない? じゃあ……肩に立っちゃっていいよ」
そう言われたので、恐る恐るコムさんの肩に右足の裏を乗せます。コムさんは足首をしっかりと抑えていてくれました。次は左足ですね。おお……グラグラする。でも……これで途切れた階段に、ギリギリ手が届きました。これで……行けるかな?
「おゆきさん……重いから、もうちょっとバランス良く立ってくれない?」
勝手に担ぎ上げておいて、この言い草です。こういう人だとはわかっていましたが、ちょっと不愉快ですね。
「えっと……その階段の付近に、何かないか探してくれる?」
コムさんから指示が飛ばされました。
そんな感じで
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