第28話
「あ、すいません。私、皆さんが暗証番号を解くのを見ていたんですけど……すぐに小紫さんが解けてしまったようでしたので、これ以上見ていても暇だったから料理していました」
乃済さんがそう発言したので、
それにアレだ、乃済さんの発言。コムさんが解けて暇だったからって……それは
「小紫さん。お暇でしたら……たいした物じゃないんですけど、私の料理を召し上がってもらえませんか?」
コムさんは誘われるがままに、キッチンの方へと向かうと料理を摘まみ始めました。
「うん、美味しいですね」
コムさんは乃済さんの料理を称讃していますが、
と、怒りに身を任せていても謎は解けません。
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━
少し時間が経ちました。声だけは聞こえきます。あちらでは食事を終えたようですね。コムさんが一口ごとに絶賛しているのが聞こえました。
その時……トレーラーハウスが揺れ始めたのです。例えるなら地震と同じ程の揺れに、
「すいません。演出なんです」
乃済さんは、そう言いました。そして現世にして十分ほどでしょうか。その揺れは続くと、最後に強めの揺れを残し……ようやく収まったのです。
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━
「もう、考えてもわからないから……
さっきからのコムさんと乃済さんだったり、強い揺れが長く続いたりで集中しきれなかった
コムさんと乃済さんは料理の片付けを終えると、こちらに歩み寄ってきます。
「じゃあ僕の考えを言わせてもらうと…… 8999 かな」
8999 ですか、9の三連打ですね。【九十九百恵】さんの【ももも】連打を思い出します。それにしても何故 8999 なんでしょう。理由はあるんでしょうか。
「えっとね……壬申とか戊辰、それと乙巳かな。これは歴史的事件ではなくて
「それの頭文字を【九・三・二・六・一・八・十一・五】の順で拾ってみるんだよ、すると……」
コムさんは最後まで言い終わらず、言葉を切りました。
「【さとう みね ひいた】ですね」
「佐藤さんから峰さんを引くんですね?」
「うん」
コムさんは、
「【佐藤万由】の 10000 から【峰仙一】の 1001 を引けば…… 8999 だね」
ちなみに難しすぎて解けないような問題は、こちらの世界でも人気がありません。だって、それは出題者の自己満足ですからね。人を楽しませるようなものこそが喜ばれるんですよ。
「8999 でよろしいですか?」
微笑を浮かべ、乃済さんはそう確認してきました。そして、コムさんがそれに答えます。
「8999 でお願いします」
それを聞くと、乃済さんはトレーラーハウス中央のドアへと向かいました。
ガチャリ。
重厚なドアから、そんな音が聞こえてきました。ロックが開いたのでしょう。やりましたね、トレーラーハウスの密室からの脱出成功です!
嬉しさもあってか、
しかし、外には何も見えません。そこは……真っ暗でした。
━・━・━・━・━・━・━・━・━・━・━
少しだけ先の事を話しますね。
【トレーラーハウスの密室を抜けると密室であった】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます