第26話
先程の経験を活かしてか、謎の人物名に対する困惑は当社比50%程度で済みました。言い方を変えれば、先程の半分程度には困惑したのです。
さて……峰仙一さんですか。この読みは【みねせんいち】でいいでしょうね。さっきのカードに記載されていた九十九百恵さんよりはわかりやすいです。しかし、この方もすごい名前してますね。だって、峰で仙一ですよ。まさに中国の神仙思想を体現しているかのようです。
えっと、神仙思想というのはですね……簡単に説明すれば、山に入り修行して不老不死を手にしようという思想です。はい、皆さんのイメージの仙人様ってのはここから来ているんですよ。
ここまでに入手したカードは三枚。そこに記されていたのは【次丁巳】・【九十九百恵】・【峰仙一】ですね。はっきり言いまして、何も思い当たることはありません。ちょっと情報収集してみますか。
「【次丁巳】・【九十九百恵】・【峰仙一】って書かれている3枚のカードを見つけたんですけど、これって人名ですか?」
「さあ……どうでしょう」
乃済さんは柔和な微笑みを崩すなく返答をしてくれました。返答といっても内容は皆無でしたけどね……あ、【内容がないよう】ですね。
「乃済さんの知り合いの人だったりとか?」
【内容がないよう】な回答では、
「私の知人には九十九さんや峰さんはいなかったと思います。珍しい名前なので……いたとしたら覚えているでしょう」
知人ではないという回答を頂きましたが、知人ではないだけで……珍しい名前とは言っていますね。間接的には人名だと認めていますね。
とは言っても、現段階の3枚のカードでの推理は難しそうです。まだ調べていない所もありますし、そちらの調査に向かうとしましょうか。
そうして
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リビングの探索は
かくして、
トイレのドアは軽い力で開きました。トレーラーハウスのドアの重厚感とは大違いです。当たり前ですね、力を込めなければトイレのドアが開かないとなると大変な事態を招くに決まってます……ええ、大惨事でしょうね。
さあ、ドアを開いた先には蓋が閉じられた一体型トイレが配置されていました。一体型トイレと言うのは、トイレ本体部分と手洗い兼貯水タンク部分とが合一になったものです。流線型のフォルムがオシャレな感じですね。こういうトイレだったら落ち着くのかもしれませんが……今の
「蓋を開けたら……ありそうな気がしますね」
カードの今までの隠し場所を考えても、前兆として蓋が閉じられていました。そして、目前のトイレも蓋が閉じています。もはや
「ほら……あった」
どうしましょうね、これ。水を流したら見なかった事に出来ないかなとも思ったんですが、蛇口から水が出なかったくらいです。これも水が流れるとは思えません。
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「ミネラルウォーターがありましたので、それをタンクに流し込めば大丈夫ですよ」
乃済さんは読心術の心得でもあるのでしょうか……
それじゃあ戦利品の確認をしましょう。
【戊辰】
「何?」
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