第5話 ドリアード(DV持ち)

 ――ここから、けいじばん――


 過疎村プリムスに巨大ドリアードもどき出現

 1

 あれ本当にドリアードか? どこから出てきたんだ? 最近不具合乱発していたインスタンスダンジョンでもなんか関連してるのか?


 2

 ヘルプに聞け。しかしちょうど俺もいるがかなりの巨木だな。根が凄い乱暴に動いていて、周辺の被害は凄そうだ。


 7

 緊急速報。あれにやられるとリスポーン期間が延びるらしい、俺の友人なんだが、2倍だとよ。バグってんな。一旦ダイブやめるってよ。


 10

 雪菜みたく戻れませんでした、とかはないよな


 15

 無事に消えたよ。というか雪菜は何日連続ダイブしてるんだ? そんなことできる施設あるのか?


 19

 戻れてよかったな。世界2位のヨネダか世界1位のユニバースの最新施設なら長期間ダイブ設備あるだろうな


 24

 雪菜さん本物の榊雪菜に思えてきた


 ――ここまで、けいじばん――


 そっか、安全にダイブやめることが出来たんだ、良かった。

 じゃあ私はなんでだよー! って思うけどバグが群がってるって話だもんね……。


 インスタンスダンジョンがあるだけの過疎村プリムスに現れたってことで、一応安堵。現地人の住民はそのまま死んじゃうからね。過疎村なので住民に被害はみたい。つまり現地民の何名かは死んでるわけだ。うーん、この……。

 一度スピリアに戻り2人を回収。4人乗りドローンに乗ってプリムスへ直行。

 バグポイントおいしーってどんどんバグ魔物倒してたけど、経験値としても美味しかったみたいで、二人ともなんか装備が綺麗になってた。ここからきらめいていくのか……。


「二人が強くなったということは、アキちゃんも強くなったってことだよね」


 ウッバレたかという表情を一度作りながらも。


「はい、美味しかったです。バグも……美味しかったです、はい」


 はにかみながら頷いた。かわいいいいいなでなでなでなで。

 バグはアキちゃんの中で一度経験値となるっぽいな。そして私を修復して、バグポイントになると。


「おし、もうすぐ着くぞ。ドローンはここで空中待機させておいて、歩いて近づこう」


 アルダスさんの言う通り歩いて近づく。


 ちょっと歩くと巨大な木が見えてきた。村まで2キロくらいあるってミニMAPが教えてくれてるけど、ここからでも見れるなんて大きいなあ。高さ50メートルはあるかな。全体的に腐ってる。

 ドリアードってかわいい女の子がついてるもんじゃないの?


「女に逃げられた男って感じがしますね。それで暴れだしたと」

「なにそのDV巨木」


 DV巨木を前にしてライドをオン、まずは接近するのであった。でかいから何かしてきそう。


 あれ、という感じで接近自体は楽にできた。時たまDV巨木の上部からビームが飛んできたけど見える速度なので当たらなかったし、それ以外の遠距離を持っていないみたいだ。

 ただ、根がすごい動きをしていて本体ごと動く。キモイ動きをして木が動く。

 根のうねりはそこそこ遠方まで届き、土ぼこりでDV巨木なのに見えにくい。


「このきもい動きしてれば女にも逃げられそうだわ」

「ギャアアアアアアア!!!!」


 私の言葉に反応したのか、私に突進し始めるDV巨木!! 図星か!!

 とりあえず逃げる。疾走とダッシュで一気に逃げる。するとまた無規則に動く。


『これ近づけねえな。かなり根が太いのに鞭のようにしなるから、当たったら大ダメージ確定だ』

『私の遠距離で切ってみます』


 ルウラさんのホーリースラッシュが飛ぶ! へーこの世界の神は刃物を戦争に使っちゃ駄目とかってのはないんだ。無宗教の宗教かな。何本もの作品に全く新しい宗教登場させてるけど、宗教って作るの面倒なんだよね。

 スパーンと何本かの根が切れる。お、押せるかな? 切れた根は急速に沈んでいく。


 戻った私も参加して根切り大会が始まる。大量にあるから時間かかるかなー。


 と、そのとき。根が復活し始めたのだ。にょきっと生えてきた。再生機能持ってるのか……。

 どうすっかね。

 ああ、火付与を忘れていた。今だと……私、アキちゃんとルウラさんにかな。火炎弾より強い火付与弾と、気の炎。そして聖なる炎で焼き尽くせー!


 ――10分後――

 全然削れている気がしねー。私の銃弾でちぎったりアキちゃんの気功円斬で切ったりルウラさんのホーリースラッシュで切ってるのに無限に生えてくる。


「ライドしてる人原因わかるー? あ、お金ありがと、一つスキルLv増やせる」


 複数ターゲット可能化をLv3にしてアルダスさんにも火を付与。あんまり火が効いてる気もしないんだけどね。アルダスさん近づけないから、今は遊兵となっちゃってるしね。


 ――簡易コメント欄――

 そろそろマナ残量やばくないか? 雪菜さんは無限にありそうだけど

 生木に火ってきくかねえ

 僕の肛門も燃やされそうです。

 根っこ、根元から切ってるのが悪いのかも。沈んだあとすぐ回復されちゃう

 3ーBのみんなみてるー?

 いまだけむりょ……メッセージが削除されました

 つまんなくなってきたぞー盛り上げろよー

 ――ここまで簡易コメント欄――


 好きに言いよって。

 確かにマナは私ももうあまりないし、一度撤退しよう。



「なんともかんともだねえ。一つ簡易コメントで根元から切ってるから回復が早いのではないかって指摘があったけど」

「それはあり得るかもしれません。火で上部が焦げた根を何度か切り落としました。一度切れた根がすぐ消えるのも、回復する場所に召喚しているからではないでしょうか」

「なるほどー。かいふくしているばしょってどこですか」

「魔物なら木の真下だと思う。アキちゃんの気を刃にして回す技とかで根を切り刻んでみる? アルダスさんも斧を回して」

「接近は危ねえぞ」


 ふふふ。


「私のマジックコートを二人に渡そう。他スキル同時使用Lv2で複数ターゲット可能化Lv3だから私が使用しつつも2人に受け渡せちゃう」

「空間障壁を範囲掛けします!」

「投げ銭のおかげでパワーエンゲージのLv1が買えるわ」

「他スキルの枠がないからオーバードライブしたときだな」


 。

 ということでリベンジ。


「マジックコートを2人に!」

「範囲空間障壁!」

「ふおお! 桜花気功斬破きこうざんは!」

虎人こじん激惨刃げきざんは!」


 ふたつのざんはが巨木を襲う!


「ギャアアアアアアア!!!!」


 根が恐ろしい勢いで2人を叩き潰そうとする!!

 しかし、マジックコートとルウラさんの防御魔法により2人にダメージはない!

 私はマナがゴリゴリ減っていくのを感じている。でも押してるから大丈夫だ!


「すり下ろせぇぇぇぇ!!」


 押し合う3者。しかし徐々に根っこがなくなっていく! すり下ろすのは効いているようだ! 復活できていない!

根っこが無残にもすりおろされていくのを前に、DV巨木は明らかに逃げだそうとしている! 効いてる効いてる!


「私をぶっ叩きたくないのかねえ。これだからDVは」

「キャアアアアアアアア!!!!」


 くるりとこちらをむき直すと、被弾を無視して私の方へ突撃してきた!


 ここだ!


接触アクセスオーバードライブ!!」


 久しぶりの接触アクセスだ。私の魂は大丈夫かな。

 ああ、いる。死ぬ寸前の時より心なしか微笑んでる。あのときは危なかったね。

 こくりと魂が頷いたような気がしたあと、魂と接触アクセスした。


「っしゃあああああ!! 逆突撃だああああ!! パワーエンゲージ!」


 複数ターゲット可能化によって3人に私の力が共有される。


「うおおお!」

「いきまぁぁす!」

「す、凄い力です!」


 私は膝をつく。ちょっと3人にオーバードライブを渡すのはきついか。


「アルダスさん心配しないでえ!! いっけええええ!!」


 虎牙百壊!

 桜花奥義・千打!

 トリプルショットのトリプルアタックのエクストラホーリースラッシュ!


 ズザザザザザ!! と、一気に根が切り刻まれ、DV巨木の動きが止まる!


「アルダスいけえええ!!」


 パワーエンゲージをアルダスに集中させ、臨時購入で出力(LV)をあげる!


「うおおお、木こりの一撃!」


 ガンッ! ガンッ! ガンッ! 

 ガンッ! ガンッ! ガンッ! 


 ドカーン!!


 DV巨木は見事に木こりによって切り倒された!


「終わったな。バグの場所はどこだ、お嬢」

「こっちです、頭の方」

「全解除。っふーきついきつい。木だから即死ってことはないかも。十分注意して。ライドは一旦切るねーみんなありがとっ」

「バグ回収してるところを見せるわけには、いきませんからね」


 動きが残る根っこをルウラさんが処分しつつアキちゃんがしっかりと脳? の中からバグを修復して私に転送。


 脳の中には亡くなっている妖精さんがいた。


「妖精部分がバグに侵されて死んで、木の方が混乱しちゃったみたいだねぇ……」

「妖精を探してずっと移動していたのかもしれませんね。空間をねじ曲げてまで」

「くさっていてもいどうするくらい、ようせいさんがすきだったんですね」


 侘しさが残る結果となったのであった。まあバグなんで潰すんだけどさあ。




「さて! 結果的に3万バグポイントと色々な機能が復旧したみたい。少し機能で遊んだら、転職だね!!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る