第5話 武具の更新!

 エリーさんに、まずは防具の更新がしたい、そのあと武器の更新がしたいと告げる。


「うんうん、それがいいッスよ! 私はここの運営が主体なので、専門家呼んでくるッス!」


 そういってゴーダさんを紹介される。名前も風貌も日本風だな、日本好きなのかな。


「それでは試着室へ参りましょう」


 試着室は大きいけどシンプル、と思ったら大量の防具パターンがずらりと勢揃いする。


「凄い数ですね……私たち冒険が主体なのであまり重い鎧は装着できないです」

「ええ、そう伺っております。アルダス様は胸甲鎧にブレイサーなど小物を、ルウラ様とアキ様は動きやすさを阻害することは出来ないため、いまの布から金属布へ質の向上を、雪菜様は軍用ボディスーツとカスタムアーマーをご提案させていただきます」


 とりあえず試着。


「なるほどこれはサイバーパンクだわ。体の線が丸見えだ。まさかマジックパンクな世界でサイバーパンクな服装になるなんて。この手のスーツなわりには通気性も良いんだね。アーマーは重要部分だけみたいだけど重いなあ。でも、そうだねえ、私はカミカゼに極めて弱いし、前線~中距離に出るからこれくらいあった方がいいかもね。格好はARチップで隠せるし。うん、その方がよい。アルダスさんはー?」


 アルダスさんは嬉しそうにしてる。


「最高だな、負ける気がしねえ。かなりがっちりしているが俺なら歩けるよ。ルウラ達はどうよ?」

「私たちは布の向上なので、できあがってみないことには」

「皆様これは試着ですので。これは鋼鉄ですが実際は全面的にミスリル合金、アダマンティン配合糸を使用します」


「え、それめちゃ高くないですか!? うちじゃ払えませんよ!」


 ルウラさんが慌ててそう言う。高い素材なのかー……鋼鉄より上なのは確か魔鉄やミスリル銀。まあそこら辺でもいいか。


「エリー様より、10万ドルエン以内に抑えろと言われておりますので、どれだけお金がかかっても10万ドルエンですよ」


 えええ!?


「いいのかなそれで。今15万しかないから、武器に5万しかつかえないや」


 うーん、武器にもお金掛けないとなあ……。


「俺とルウラは強化訓練をすれば武器も成長する。アキは気を纏った一撃なので、大将につぎ込んでも余るくらいじゃないか?」


 でもなー魔導アサルトライフル買いたいからさ、あれってお金かかるのよね。


「銃は需要がないのでお安いですよ。お金より銃の製造の方が大事という、マニアックな人が作ってるお店を紹介する予定となっております」


「んー、じゃあ、頼んじゃいますか。あ、そうだ、古物商ってどこにいますか?ちょっと前に決死の防衛戦をしたときに質のよい武具をゲットしてあるんですよ」

「エリーが行ってますね。あとで呼びましょう」




「あー!この弓、あの防衛戦というか長距離猛ダッシュしたときのやつッスね、ちょっとライディングし直してそのとき表示させていた固有IDと照合するッス」


 あの戦闘見ていたのかー。なんか嬉しいね。ジダンに来て以来していない、ばんざい音頭でもしよう。


 あそーればんざいばんざい。あそーればんざいばんざい。


「ああああ生ばんざい音頭! うわーウチは幸せ者ッス!! 固有IDは一致しているので、『あのとき拾った弓』となります。1万ドルエンで買い取らせていただきやす!」

「たっかぁ!?」


 あいつらそんなに高い装備でカミカゼしてきたの!? そんなことしたら赤字にならない??


「ここにはからくりがあるんスよ。これは再生回数がかなり高いあの防衛戦で拾った弓なので、プレミアが付くんッス。オークションに出せば雪菜さんのファンが買おうとするので、そうだなあ、3倍はするッス」


 たっかぁ!?

 あのとき6個集めたんだけど、珍しかったので全部詳細を見ていた。固有IDもバッチリ写っていたので、弓とその5点合わせて3万ドルエンになった。す、すげえ。


 よく襲いかかってきてたここの1層2層に生息していた賊のアイテムはスクラップにしかならないというのでぜーんぶまとめて1000ドルエン。今度からは拾わないようにしよう。


「これで武器にもお金掛けられそうです! 最後に、このマジカルバッグを売りたいんですけども」

「あーそれは魔法道具屋に売るのがルールッス。エンチャントもの、魔法の品はプレミアとか付かなくて性能重視なのであまり高くは売れないッスね」

「そっかぁ」


 それから少しご歓談。エリーさんが兎さんだというにはみんな驚かれるんだそうだ。そらそうだ、私も驚いた。なんでも、かわいいキャラを演じたかったんだけど性格がそれを許さなかったらしい。なるほど。


「今日はありがとうございました! これから教えて貰った銃器店へ行ってみたいと思います!」

「いえいえ至福の時間を過ごさせて貰ってよかったッス! 最後にサインいいッスか?」

「色紙にですか? オークションに掛けませんよね」


 そっと目をそらす兎さん。


「あー、掛ける気ですね。じゃあサインしません。私はおまけいっぱい付けて貰ったけど、一利用者としてきたんですから。サインはディンゴにもしてませんからね」

「わたしはしちゃいましたね」

「あー! ディンゴの野郎抜け駆けしやがって! PKしてやる!」

「とまあ、そうなるので。凄く融通して貰ってなんですけど、ファンサービスは、ちょっと」

「自分が火の種まいちゃいけないッスよね。わかるッス。理解出来るッス。でもディンゴは許せねえ」

「こ、個人使用目的ならサインとか大丈夫ですからっ」

 あははは、ということでサインをしてお別れ。

 魔法道具屋によって500ドルエンを手にしてからお目当ての銃器店へ。「ラゼアル銃器店」というみたい。

 ごめんくださーい。


「ああ、今客対応している暇ないって、なんだ、お前さん銃士か」

「厳密には違うけど、銃をメインにしてます。今回は魔導アサルトライフルを作って貰おうと」

「口径は?マガジンサイズは?」


 圧が凄い。これぞ圧という感じ。


「えっっと、まだ決めてないですね。ここで教えて貰いながら買おうと思っていたので」


 おっちゃんは私の眼前に顔を近づかせながら。


「ここは講習所じゃねえんだぞ、銃を造る場所だ」


 ひぃ。めっちゃ怖い。


「す、すみません、そうですよね。勉強して出直してきます」


 実際は小説の小道具としてかなり使っているから割と理解しているんだけどね。でも実技はどうかといわれるとね。


「いやいや、ここで学んでいきな」


 というわけでラゼアルのじーさんが教えてくれることになりました。


「ガンスミスになるわけじゃねえからな、どういう機構なのか、構造の意味は何なのか、メンテの時に何をすればいいか教えてやるよ。ショットガンより上を買いたいんだろ」


 というわけで講義を受ける。

 銃というのはそもそも……。

 完全魔導銃タイプに関しては特に……これが……こうで……。


「ざっとこんなもんだろ」

「ありがとうございます」


 グゥレイトォ! 以下のことしか言ってないけど、顔を立てておこう。

 

「さてここは製造所だ、何を作っていくかい」

「そうですね、えーと」


 それで完成したのが「9ミリ魔導アサルトライフル」と、「5ミリ魔導ミニマシンガン」の二つ。メインがアサルトライフルで、サブがミニマシンガンだね。

 サブマシンガンって普通はサブで持てないほどには大きいんだけど、ミニマシンガンはサブマシンガンをさらにコンパクトにした銃。10ミリフルオートピストルと同じパーソナルディフェンスウェポン、PDWってやつかな。片手で扱う力があるから銃の前方にある取っ手(フォアグリップという)は折りたたみ式。収納すればピストルみたいな形状になる。専用のホルスターに入れれば本当にサブとして使える、と思う。

 10ミリフルオートピストルよりも口径は減ったけど銃弾の長さと銃身が伸びたから貫通力は上昇してる。


 アサルトライフルの方が銃弾の長さがずっとずっと大きいし、魔導弾を加速させる機構となる銃身がかなり長くて大きい。もちろん威力はアサルトライフルの方が上。取り回しは正直厳しい。私の身長150センチメートルしかないからね。

 9ミリ以上にも出来るんだけど、取り回しとメンテナンスがかなり厳しくなる。「魔導回路修復」とかを持っていないと難しいかな。

 大型魔導機械の修復に使うようなレベルなので、スキルの値段が高いんだわー。ちょっと無理。

 どちらもミスリル銀製。強度と放熱のバランスがよいんだって。


「とても良いものをありがとうございます! お値段はどれくらいになりますか?」

「ああ、2つで2万でいいよ。俺の本業は交易商だからな」


 ズコーッとこける。ま、よい物が手に入ったからいいかー。

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