第3話 にわか交易
フルケアを何度ももらったので傷は綺麗に塞がったのですが、血は回復せず一ヶ月ほど静養期間となりました。ま、ゲームエディタが機能しないからここら辺は生身なんだよね。身体強化のスキルはあるんだけど、部分部分だし結構高い。拳法家および総合格闘家のスキルと書いてあるから上位職業スキルなのかな。武具を更新するので大金が動く。今はまだ駄目だね。
ジダンにいるのに何もしないというのはもったいない。交易しないと。先物は最新システムに接続できないのでだめ。株価もそう。ま、ここら辺は研究してないからわからないしなー。
交易をするという点で凄く重荷になるのが――
「俺たちの天引き率だな。二人で20パーセントもとったら交易の利益なんて出ないだろう。一度解雇して交易してこい。安全なルートを通るんだぞ」
「はーい。一旦お別れです」
初めてもしくは凄い久しぶりに解雇。強化訓練も、天引き率があるので使えない。交易するなら来訪者だけでやるのがいいんだね。ここがジダンで現地民の地位が低い理由か。
交易、どこでやろうかな。アキちゃん派閥という名のディンゴは、カルデール地方の魔導シリコンをここに持ち込むのが安全と言っていたな。街道の安全度ランクが9なんだって。なるほどー。
まずは交易所へ移動。交易は、輸送用のパッキングとかその他諸々があるので交易所で売買する。
次にここの魔導シリコンの相場を調べる。売り方1200で買い方1100だね。私は持ってきて売るので、1200ドルエンかそれ以下の値段設定をして売れるのを待つか、1100ドルエンで買い取ってもらうか、か。
950ドルエンで買って、1100ドルエンで売る。差額は150ドルエン。
利益が出ないことはないね。
3万位を投資したいので、それで買える枚数は……31枚かな。これが入る輸送船は、えーと、GTWー30、か。1枚入らないけどそれ以上がGTWー50で50個積むから空きが出ちゃう。交易がノったら借り換えよう。レンタルで1日100ドルエンほと支払う。がめついなー……。でも寝床は船についているみたい。
通常なら片道3日の6日で往復できるみたい。600ドルエン支払う感じか。こちらからも何かを持ち込んで売った方がいいなあ。何がいいのかな。
足で稼ぐか。
足といっても店を片っ端から訪ねるのではなくて、貨物船や巨大輸送船のお兄さんに尋ねるだけ。
大体は守秘義務があると言って教えてくれないけど、たまに気前よく教えてくれる人がいる。
その人達の話をまとめると、ポーションが高値らしい。私が買ったような賞味期限の短いやつじゃなくて、一年くらい持つような高級品。領土拡大する動きがあるようだ。
このゲーム、ジダンとその周辺に人口の60パーセントが住んでいるんだけど、外部にも広大な土地があって豊富な鉱山や肥沃な大地がある。そこを占拠、というか領土化しているプレイヤーもいるのだ。通称外地の人。
領土拡大をするならそのプレイヤーと激突することになる。外部にすんでいる人は、ジダンとその周辺の開拓された土地という恩恵を受けずに生活できている人たちなので、単体が極めて強いらしい。
だから血が流れるし、ポーションなんかの戦闘用品が必要となってくるのだ。ということらしい。全部請け売り。へー。
さてポーションを仕入れよう。迷わずマジックポーションを選ぶ。
今武器防具も作っているはずだろう、そのときには魔力を使う工程があるってグゥレイトォ! が言ってた。ポーションが高いと言うことはもうそろそろ戦争を始めたいはず。できればすぐ造りたい。武器を作る工程だから作成スキルを持っている人がこき使われるだろう。つまりマジックポーションに高い需要がある。あちらからの速報値1300ドルエン。こっちでは1000ドルエン。いけるね。30個きっちり詰めるし。
3万ドルエンと取引手数料の150ドルエンを支払い輸送船に乗り込んでGO!
「船の運転ましてや魔導エンジンのなんてしたことないけど、運転できるようになってるんだねえ」
「このおふねを作った人にかんしゃですね」
1層2層が危険なため3層から船で移動するのが基本。ではしゅっぱーつ。
最初は自分で動かしたけど、ほかの船に接触したりすると危ないから自動操舵を起動。
街道をふわふわ進むので、魔物に出会ったり賊に出会ったりというのがない。逆に、交易一本で頑張ろうって人は船を取得するまでは難儀しそう。最初はレンタルでよいのじゃないかしら。
この船は軽いので割と上空をゆく。地上のやっかみは全くなくなるけど、あまり高いと翼竜系魔物に襲われるので注意が必要だ。
「いやあ、のんびりだね」
「ごしゅじんさま最近はりきりすぎていたので、ちょうどいいですー」
「そんなもんかね」
特に何かということもなく、カルダール地方の栄えている街「カリアナ」に到着。船の接舷は全部自動なので便利だ。
交易所に行ってマジックポーションの買値を見る。1450ドルエンだ、値段が上がった!
売らない理由はないのですぐに全量売却。手数料を差し引いて13200ドルエンも儲かった!
「やりましたねご主人様!」
「だねー。あとは何を持って帰るか。魔導シリコンだっけ」
魔導シリコンの相場を見る。売値が1050だ。うーん、ほぼ利益が出ないぞ。戦争前だから何でもほしがるのか。あっちでの買値は速報値1100だから、ちょっとすると損が出る。
どうしたものかと思案していたら、アキちゃんがやってきた
「ご主人様、水がいいらしいですよ。ここは美味しい水がとれる場所なんですが、みんな戦争物資を運んでるから運び手が少ないんだそうです。利益は薄いけど持ち帰る分にはいいんじゃないですか?」
「みずかー、ジダンは水欲しそうな都市だもんね」
調べてみると、こっちで30ドルエンで買えて、あっちで120ドルエン前後で売れそうだ。
レンタル代の足しにはなる。競争相手もいなさそうだし、決まりだね。
水を900ドルエン手数料4ドルエンほどで買い、帰還。
「本当のんびり」
「こうえき生活、できるといいんですけどねえ」
「バグ退治が本当の活動だからねえ」
のんびりと帰ってジダンへ到着。すぐに水を売却。3700ドルエンの儲け。
すぐにレンタル船をGTWー50へ乗り換える。
1万ドルエンも儲かったのでマジックポーションをもっと詰める船にしたい。
マジックポーションは900ドルエンまで下がっていた。増産掛けたな。
44ほど買えるので全購入。すぐに補給してもらって出発。
「この子は前のよりおそいですね」
「50は積み込める分速度が遅くなっているみたい。装甲は増加しているけどね。寝床も広いよ」
「何日でつくのですか?」
「4日かな? ちょっと聞いたの忘れちゃった」
で、4日で到着。
交易所に接舷してすぐに売却する。売り上げが66000とでて目が飛び出る。実利26400ですよ!
「ごしゅじんさま! すごいりえきですね!」
「ねー! でもこれで最後みたい。もう戦争が始まるっぽい、交易所のおじさんが教えてくれた」
水を積んでカリアナを離れる。これが最後の交易かな。ドティルティ~ジダンは治安が悪いし、レンズ~ジダンはにわか交易者にとっては遠すぎる。アマール地方はまだよくわからないからな。
ジダンに到着し、水を売却。4975ドルエンの利益。50ちゃんのレンタル料は往復1200ドル円なので、26400ドル円も合わせると、ざーっくりと3万ドルエン弱儲けた感じだね。約2週間でこれは美味しすぎるぅー。
「あと2週間ほど、私は何をして療養すればいいんかね?」
「寝てればいいんです!!」
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