第6話労働して得たお金は何に使う? さらに労働できるためのツールを買うんだよ。

 私のスキルが低いため、まずは頑張って働きました。


 主にゴブリンなどの魔石を集めて売却するお仕事を傭兵さんにやってもらって、わたしは高級薬草の栽培と、農家のお仕事手伝いとか。傭兵さんは短期契約で少し増やしたよ。

 たまにゴブリン集団の討伐依頼が冒険者の館に来るので、それを受注して利益をマシマシにしたり。


 傭兵の天引きがあるので凄い儲かったとはいえないけど、それでも結構稼いだよ。傭兵の館がある所なら、傭兵の衣食住は私負担じゃないからね。


 私は暇さえあればトレーニングをしてた。トレーニングにはなれてる。ふにふにおっぱいやぷりぷりお尻を維持するためにはトレーニングは欠かせないもん。美を保つにはつらい鍛錬が必要なのっ。


 ああ、そういえばアレが面白かった! アレ!


 ライドシステム!


 これは人に乗り移ることで、その人の動く筋肉、感じる痛みなどその人の全てを自分にもフィードバックさせるシステム。さすがに脳内はのぞけないけど、興奮や恐怖は伝わってくる。感覚を伝えずにただ見るだけも可能。


 ライドさせるのは配信者でライドするとかライドオンって言われる、乗っかるのは乗るとかライドに乗るとか、ライディングって呼ばれてる。でも、全部ひっくるめてライドするって言われてるみたいかな。

 私も何個かライディングしたんだけど、有名配信者のライドは凄い。

 華麗に攻撃をさばき、的確に剣を振り、敵を倒していく楽しみ、感じる興奮は言葉では言い表せない凄さがある。

 ついでだけど、山賊などの『人間もしくはそれに準ずるものを殺す』ときの抵抗感も消え去ってくれたよ。何度かライディングから降りて吐いたけどね。


 私もやってみるかな。この苦労とバグにまみれた生活にライディングしたいって感じる人はいないと思うけど。

 ま、とりあえず機能オンにしておこう。重要な場面では切り忘れないようにしないとね。

 ライディングしてくれれば視聴料が入るし、ついでに投げ銭もしてくれるかもしれない。

 ライディングする分には広告見ればいいだけだしね。



 さって、スキル取得のお時間です。


【射程距離増加:発射された物体の射程距離を20メートル増加させる。飛び道具の場合は40メートル。100ドルエン――Lv5まで増加すると850ドルエン、割引されて800ドルエン】


「今回はこれくらいまで増加させて、残りのお金でどうするか考えようか」


「ぶきぼうぐも欲しいですよね、ごしゅじんさま!」


「そうなんだよね、アキちゃん。買うと残り3758ドルエンか。とりあえず購入して、次どうするかだね」


【射程距離増加Lv5を取得しました】


 これパッシブなんだよね。スキルはどれくらい買ってあったかなあ。


【スキル一覧:パッシブ】


 現在ステータス:筋力85:魔力130:器用130


 推定魔力:260

 推定マナ総量:320


 マナ回復量増加Lv2

 解体・剥ぎ取り:Lv3

 1日の必要水分減少:Lv4

 ピストル・リボルバー修練:Lv2

 ナイフ・短剣修練:Lv3

 魔力オーブ保持:Lv1

 魔力オーブ動作:Lv1

 貫通力強化:Lv1

 射程距離増加:Lv5

 ホーミング付与:Lv1


【以上】


 ちなみにこの中にある魔力オーブなんだけど、マナを任意の大きさで頭上に浮かすことが出来るスキル。内部にマナを貯めたりここから吸収したり出来る。

 マナが満タンで回復しては溢れているマナがもったいないときに浮かせて予備タンクにしたり、オーブ動作もあるので他人にあげたり、敵にぶつけたり出来る。

 おもしろいのでもっとほしいのだけど、たけぇっす。


「まあまああるね。アクティブは」


【スキル一覧:アクティブ】


 生活魔法:Lv4

 冒険者生活魔法:Lv2

 狙う:Lv3

 連射:LV2

 バッシュ:Lv1

 ケア:Lv2

 マジックアロー:Lv2

 テレキネシス:Lv2


「拳銃が主体だからきらびやかなスキルは持っていないんだよね」

「それでもありますねー。ステータスは今の基礎能力を変動させる係数なんですよね」


「そそ。100が基本。だから私は魔力や器用さは高くなってるけど筋力は低下してるの。でも素早い行動やダッシュなんかは器用さが重要で筋力は補助だから、筋力だけあればいいって訳でもないんだよ」


 アキちゃんは若干首をかしげながら、


「天買人はステータスも購入できるんですよね、なぜステータスをもっと購入しないんですか?」


「ふふふ、ステータスは純粋にお金がかかるんだわ。筋力なんかは特に高い。ハーフエルフで筋力が元々低いからね。んじゃまあ、明日にでも防具屋さん行こうか。見せ衣装もついでに更新したいよね」


「わーい!」



 次の日、防具屋さんを探しに街を探索。

 いやー、めっちゃデカいからどこの防具屋さんがよいのかさっぱり分りませんわ。

 冒険屋の館が推薦したところは、ちょっと違ったね。あれは裏でお金が回ってる。賄賂かなにかを献上して不正な取引をしてるんだわ。

 どうしようかな。この都市だけで50以上の店がある。ピンキリだし、全部探す時間もない。この都市の領主であるブルターニュ一族という企業に聞いたけど……下っ端以下の私だと門前払いだった。




「それで俺のところに来たって訳か」


「はい。傭兵さんなら武器防具に詳しいと思いまして」


「そうか。それで、予算は」


「私とこの子で2000ドルエンくらいまでは出せます」


「この子って……こいつか?」


 傭兵の館のわんわんお! アキちゃんを見る。


「はい! 私戦えます!」


「……何が出来るんだ」


 少ししらけた様子でわんわんお! がそう言いますと、


「こういうの! 『桜花蹴山脚おうかしゅうざんきゃく』」


 脚を大きく広げ、弧を描くように両足を広げながら脚を回し地面に尻をつけ、勢いよくかかとを地面に叩き付けるアキちゃん。

 その技はかかとで衝撃が発生することはなく、一メートルくらい前方で激しい衝撃が起こった。

 え、なにそれ? なに? なにしたの?


「ほう……『遠当て』が出来るのか。それにかなり柔軟性を持った身体からだだな」


「はい! わたしはアキちゃんなので!」


 感服した顔のわんわんお! は、


「これだと柔軟性に富んだ生地で拳法着を作った方が良いな。昔からやっている中身入りの防具屋を知っている。紹介してやろう。……お前はついでだからな」


「あ、ハイ。ツイデデ、ジュウブンデス」


 とにもかくにも、お店を教えてもらったのでさっそく向かうことに。


「ここかー。『ドザールの洋服店』だって」


 ドザールさんのお店は結構賑わっていました。若い女の子がいる。


 店員さんに事情を話すと、ドザールさんを呼んできてくれましたよ。


 ドザールさんは若いねこ耳っ娘でした。ふえぇ、ねこ耳だよぉ。


「にゃっほー、わたしが『どざぁる』だにゃ。用件は聞いてるにゃー、雪奈ちゃんとアキちゃんにゃよね? 丈夫で柔軟な拳法着と、あまり重くない装備だにゃ?」


「話が早い。そうなんですよ、この先安全に活動するために拳法着と鎧を探しているんです」


「それにゃらこの近くのインスタンスダンジョンに出現するジャイアントシルクスパイダーの蜘蛛糸で作るのが良いかにゃ。こいつの蜘蛛糸は柔軟で丈夫、衝撃吸収もするから防具にさいてきにゃーん」


 インスタンスダンジョンはグループが挑戦するたびに、その都度ダンジョンが生成される仕組みのダンジョンだったっけかな。

 この世界でもゲーム的なダンジョンってあるんだなあ。


 で、蜘蛛糸……蜘蛛……。


「蜘蛛、ですか……」


「そうだにゃ。蜘蛛は使わないところはない素材なのにゃ。この糸にゃら雪奈ちゃんの装備も、蜘蛛糸で鎧の内部を作って、表面に鉄板をバカスカ打ち付ければブリガンダインという防具になるにゃ。通常ならブリガンダインって胴しか守らないけど、蜘蛛糸なら伸びるから全身ブリガンダインにできるにゃー。魔をよく通すからマジックコートも効果的におこなえるにゃ」


 マジック……コート?


 システム!


【マジックコート:魔法の防御。使用者の魔力および装備している防具の強度が増加するほどにいわゆる『防御力』が上昇する】


 はーん、なるほど。はっはーん、なるほど。


「わかりました、蜘蛛糸、取ってきます」キリッ


「よろしくたのむにゃー。ジャイアントシルクスパイダーは堅いから強めの武器を調達するといいのにゃ。詳細は『デキアル銃器販売店』で聞くといいにゃ。鎧はだいたい5000ドルエンあれば出来るにゃ」


 よっし、まずは武器を調達してきますわ!!

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