3話 出会い2

2人の子供が手を繋いで野原を歩いている。少女の横にはかき氷のように雪のついた灰色と群青色の山地がある。少年の横10メートル先には小さな壁がある。

2人の前には赤の屋根、真っ白な壁、綺麗な窓、を持った城がある。

「ねえ」

少女が少年に聞く。草むらの方を指した。

「あの動いているの何?」

「どこ?」

少女は腰を降ろして再び示す。少年は少女の指すものがわかったらしく

「あーあ、ダンゴムシだよ。 見たことないの?」

そこには固そうで全く硬くない真ん中ら辺に緑か、白かの斑点をつけた甲羅を背負った小さく簡単に潰せる小さき者がいた。

「うん、見たことない。いつも部屋に閉じ込められてたから」

「ホエーそうなんだ。」

少女は思い出したように少年に聞いた。

「そういえばなんで木の板をつけて壁から落ちてきたの?」

「壁?あれは崖だよ」

少女はハニワの口みたいに口を開けて驚いた。

「え、そう、、、まっいいや。そんなことよりなんで落ちたの?」

「えやだ、恥ずかしい」

「大丈夫笑いはしないよ」

「やだ」

少年は失敗したのが恥ずかしいのか、目的が恥ずかしいのか、なかなか口を開かない。その態度に少女は痺れを切らしたのか、ポケットから白い布に包まれていたクッキーを見せた。そして少年の方へ運ぶ。

「え、なにこれ?」

「知らないの?クッキーだよ、甘いよ。これあげるあら教えて?」

少年はクッキーのかけらを手で取り口に運ぶ。

美少女は恥ずかしくて顔を下げている少年の顔を、下から女神のような笑顔で、怯えてる子供に優しい笑顔を見せるちょとやんちゃな女子高生のように見る。

少年は思わずその笑顔に釣られて。小さな声で、

「と、とり、鳥に、鳥になろうとした」

「鳥?なんで?」

「だって、僕は自由に鳥みたいに空を飛びたいんだ!」

急に口のエンジンがかかったみたいに話した。

「空を飛べたら、あの雲の向こう、知らない場所へ行ける、夜だったら星や月にだって行ける。僕は行きた!今だってあのお城まですぐ行ける。 だから僕は鳥になりたいんだ。」

少年は満足したように少女を見る。少女は少し考える。そして、満面の笑みで、元気よく、宣言した。

「面白そう!私も飛びたい。もう歩きたくない。もう閉じ込められたくない!色んなとこ行きたい! 私も鳥になる! 私も鳥にならせて!」

少年は初めて自分の理解者ができたのが嬉しかったらしく、笑顔で

「うん、なろう一緒に! ついてきて」

再び走り出す。少年が少女の手を引いて、

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