第25話


 眠れない俺がふと横に目を向ければ、リアの寝顔が見える。


 起きている時は子供特有の豊富な表情や、時々ある無邪気さが可愛さを上げるが、寝ている時はそれはそれで、静かな可愛さがあって文句などない。


(いかんいかん、ダメだ。これ以上見てたら朝までだって観ていてしまいそうだ。移動しよう)


 俺は見るのを止め、大樹に設置してある床から出て、その周りを囲むように四方八方に伸びている太い枝の上に、移っていた。


(さて今のうちに確認しないとな)



――ステータス――


『ディオ』Lv7 ポイント「7」


【固有能力】・睡眠耐性Lv10(MAX)

 「おまけ」・ステータス閲覧権限


【能力】

 『身体能力』

 ・体力Lv1  ・スタミナLv2 ・自然回復Lv4

 ・腕力Lv1  ・脚力Lv2


 『魔法』

 ・土属性Lv1 ・無属性Lv3

 ・魔力量Lv2 ・魔力質Lv2

 ・魔力強度Lv1・魔力操作Lv4 

 ・魔力放出Lv2


 『武器』

 ・剣Lv2 ・弓Lv3


 『耐性』

 ・睡眠耐性Lv10(MAX)


 『技能』

 ・解体Lv3


【スキル】

・異空間Lv1 ・鑑定Lv2 

・インパクトLv1


 リアが居るからインパクトは最後の手段としてとっておきたい、毎回爆風に巻き込むのも良くは無い。その為には、単体向きの強い攻撃を出来るようになるしか無い。


 弓の弱点はそこだ、剣術は対個人でも大勢でも上手く捌けたり出来る。だけど弓は、百発百中であっても、威力が上がっている訳じゃないから、矢より硬い外装の敵が出てきたら弓は役に立ちづらく。複数に囲まれた場合もまた弓は使い物にならなくなってしまうだろう。


 その状況下でも戦える手段を、新しく手に入れなければいけない。


 試しに土魔法の練習を重ねてLvが上がれば、ストーン・バレットが使えるようになり、恐らく放てるストーン・バレットは、リアのアイス・バレットよりは魔力放出のLv的に大きくも出来る。


(俺は小型で目立たない技を求めているが、小さいと恐らく魔力強度負けしてレッサー・ウルフすら倒せるかすら怪しく、土属性を上げるのは無しだな、無難に無属性の練習してLv4を目指すか、新しい魔法も考えながら)



――

――



 あれから新しい魔法を考え続けていたが、一夜で思いつく程魔法とは甘くも無く、気がつけば朝になっていた。


 リアは寝息を立て、依然気持ち良さそうに寝ており、そのままだ。


(今日はこの辺りのウルフ達を、確実に狩るだけだ。リアには悪いが無理に遠出して果物は後回しだ、冷静に考えれば拠点の周りから片付けであって、今は急ぐ必要はない。それに昨日は色々と大変な目に合わせてしまったからな、今日はゆっくり休んで欲しい)


 朝陽が差し込んでから二時間が経ち。リアが動き始めて次第に意識がハッキリし始め、上半身を起こしては、膝を曲げてはペタンと座っていた。


「おはよう、リア」


「ぅ~んぉはよぉぅ、ディオ..」


 リアは眠そうな声で、ろれつが回らない中で返事をしていた。

(何ともまだ眠そうなことで)

「まだ寝てても良いぞ?」


「いや、もぉぅ、だいじょ..ぅぶ…」


(本当にそれは大丈夫と言うのだろうか、まぁいいか)


「リア、今日は北の方に行こうと思ってたけど、しばらくはこの辺りでレッサー・ウルフ達を討伐しよう。何があるか分からないから、もう少しここで戦闘を行ってから広げたい」


「ディオが考えて、そう決まったぁんなら、私はそれに従ぅ。ウルフ達、いっぱい倒そうね」


「ありがとうリア、それと他にも、リアは魔法の名前を考えないとな」


「あ、忘れてたぁ」


「まぁいいさ、新しいモンスターに手を出さなければ大丈夫だよ、ゆっくり考えていけばいいさ、それに俺も新しい魔法を考えるつもりだからさ」


「ぅっえ!、また新しい魔法作るの!?」


 そんな衝撃を与えるつもりはなくとも、眠そうにしていたリアから眠気は吹き飛び、高速で振り向いた顔と視線が重なっていた。


「まぁインパクトはそう簡単につかい回せる魔法じゃないし。そりゃ明らかにヤバそうな敵が出て来たら使うけど、使っていけばいく程に周りを壊すからな。それで良いならどんどん使うわけだが」


「ダメだよ、そんな事したらウルフ達も居なくなっちゃく。この景色のどこかの木が、不自然に折れたり無くなるって事でしょ?そしたら折角の景色が台無しじゃん。危険がない限りは使わないでね」


「元からそのつもりだよ、あれはリアも巻き込むし、使った俺でも後ろに吹っ飛ぶときた、使い勝手があまりにも悪い」


(実際に宙に舞い上がった話はしてないが、言ったらどんなけ説教されるか…考えたくもないな)


「新しい魔法かぁ~、やっぱりディオは凄いね」


「ん?何が凄いんだ」


「なんでもなーーい、それよりも私の魔法の名前も、考えるの手伝ってよね!」


「なんでだよ、自分でしっくりくる名前を決めろよ」


 俺達は起きても尚そんな他愛も無い会話を続け、ゆっくりとした時間を過ごしていた。別に今日は焦ってモンスターを大量に狩る必要は、今の環境ではなく「急がば回れ」に従い丁寧に進めていた。


「ん、なんて言ったの?」


「別になんでもないよ」


 つい口から溢れた言葉にリアが反応しても会話は止まらず、気にもとめないリアが直ぐに話続けていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る