第23話・戦利品?


「ねぇえ!ディオってば!――おきてよ!―ねぇぇえっ、おきてよ…」


(なんでだろう、リアが叫んでる)

 そう思っていたら俺の意識は少しづつ戻り始め、ゆっくりと目を開けると、そこには俺の胸の上に頭を着けて蹲っているリアがいた。


「リア?」


「ディオ!?っ  うぁああぁああぁあああぁぁああっ―」

 

 急に泣き出し、更に抱きついて来たのであった。


 俺はそんなリアの頭に手を置き、頭を撫でる、というよりこれ以上身体を動かせなかったのだ。


(やばい、身体が痛い)



――

――



 あの状態のまま一時間が経過し、リアが落ち着いて来たので、そのまま胸の上にいたリアに話しかけ、リアが目を覚ました時の状態などを聞いていた。


 そして存外丈夫な事に、俺の身体も少しは動けるようになってきたので、リアに離れてもらい身体を起こすと、リアが何故か俺の後ろを指さしていたので、痛みを伴いながらも首を動かしその方向を見ると、胴の中央で上下に真っ二つにされた白い骨が割りと近くに転がっていた。


「これは何!なにしたのッ‼」


 リアがもの凄い剣幕で問いただしてきた。


「これは、、あれだよ!リアが吹き飛ばされて、許せなくて、俺が剣でさッ!って斬ったんだよ、うん」

(正確には叩きつけただが…)


「そ、そうなんだ。ふ~ん」


 リアは納得はしていないようだけど、問いただす事は止まり。目を逸しては違う方を視線を追うように顔も向きを変え、何もない壁を向いていた。


「ねぇ、ディオあっちになんか光ってるよ?」


「ん?」


 そしてスケルトンの亡骸から少し離れた場所をリアが指差し、そこに目を向けると、そこには光る小さな物が在った。


「まさかっ」


 慌てて立ち上がった身体に痛みが走るも、それさえ無視出来る程に意識は光る物に奪われ、立ち上がった俺がリアの手を引きゆっくり立ち上がらせては、光っている物に向かって歩き出す。


 近づいた光る物体は、ゴツゴツと表面は少し荒いものの、内側から光を発し。手で持てる大きさの四角い長方形状の水晶の様な物体だった。


「リア、これスキル結晶だッ!」


「ほんと!?!」


 横から凄い勢いで前に来たリアも、結晶をまじまじと見つめていた。


「うん、間違いないよ。まってて今鑑定してみるから」


 見つめていた結晶を少し離し、スキルを使用する。


「鑑定」


【スキル結晶】

『魔力強度up(小)Lv2』

※使用者の魔力強度を、魔力強度Lv×0.1倍上昇させる。


(なんだろうこのリアの為に用意されたようなこの効果は…)


「リアこのスキル結晶、魔力強度up(小)Lv2だった、これはリアだな」


「ええ!ダメだよそんなの、ディオが倒した敵から出たスキルじゃん」


 欲張り、何だと言い張る俺の知っている子供とは違い、リアはさも当たり前の様に拒み、俺に渡していた。


「俺の魔力強度を上げるぐらいなら、リアのを上げたほうが良い。それに何より、これでリアの壁の強度が上がれば俺達の安全度は上がるし、リアが俺を守れるようになるんだよ?それでもリアは使いたくないの?」


「そんな、言い方してもぅ…断る理由がないじゃん、ディオのばーか」


「じゃ、はいこれ、早速使って良いよ」


 そう言ってリアにスキル結晶を渡し、リアは渋々受け取ってくれたが、受け取とりスキル結晶を眺めると、やはり嬉しい事に変わりはないのだろう、その表情は緩み明るい顔をしていた。


「スキル結晶・使用」


 リアが呟いた瞬間スキル結晶が光、広がった光がリアを包み、リアの姿が観えない程の光は数秒でリアに吸い込まれるように小さく消えていった。


「ねぇ、かわぁった?」


 自身でステータスを確認出来ないリアが首を傾げ、両の手の平を見たり身体を見渡してるが、そもそもスキルなのだから外見に変化は無い。


「待ってね、鑑定」



――ステータス――


『リア』Lv5 ポイント「5」


【固有能力】・魔力強度+3


【能力】

 『身体能力』

 ・スタミナLv1 ・自然回復Lv1

 ・脚力Lv1


 『魔法』

 ・氷属性Lv2

 ・魔力量Lv1  ・魔力質Lv1

 ・魔力放出Lv1 ・魔力強度Lv3


 『技能』

 ・解体Lv1


【スキル】

・魔力消費軽減Lv1 ・魔力強度up(小)Lv2 ・アイス・バレットLv1



「ちゃんと魔力強度up(小)Lv2が増えてるよ、それと魔力量と解体が増えてるよ」


「やった!わたしってやっぱ優秀なんだもん。ほら褒めてもいいんだよ!」


 そう言って道中の様に上を向くのではなくリアは下を向き、頭を向けられたので、ゆっくりと手を置いて撫でていた。


(森に入ってから色々頑張ってもらってるんだ、これぐらいならいつでも喜んでやる。俺としても可愛いリアを撫でられ得しかないんだからな!)


 撫で終わり、周りを見渡すと、入り口の巨大な扉とは正反対な小さな扉が、真逆の位置にある事に気づていた。


「リアまだ、なんかあるみたいだ」


「ん?」


「ほら、あそこに扉がある」


「ほんとだっ」


 ほんとだと言いながらリアは扉に向かってあるき出し、かなりテンションが舞い上がっていて、いつものリアからじゃ考えられない程だ。


「よいしょっと」


 リアは扉の前に着くなり、俺を待たずして開け。


 一人先に扉の向こうに入っていった。


「ちょ、リア待てってッ」


 急いで追いかけるも、身体の損傷具合は酷く、追いつく前に入られ、割りと焦った俺が少し声を張り上げながら呼び止めるも、リアは止まらない。



「ディオお宝発見!よっ」


 部屋の入った途端にリアの声が反響しながら聞こえ、俺が目を向けると確かにそこにはお宝?があった。小さな部屋の奥に少し地面が盛り上がった場所に一つ置かれた宝箱。


「確かに、宝箱とは、お宝だな」


「ねぇ!開けていい?」


 リアは目を大きく見開き、良いでしょ、私が開けるわよ?と言わんばかりに俺を見ていたが、部屋に入った時とは違い。ちゃんと待ちが出来ていただけで良いと言えた。


「うん、良いよ。一応罠の可能性もあるから気をつけてね」


「うん!さっそくぅ~」


 警戒なんて微塵もないまま、リアは宝箱を開け始めた。


「何がでるかなぁ、~ディオ見て、また出てきた!」


 そう言ってリアが手に持ち、宝箱から取り出したのは先程のスキル結晶より明らかに大きい結晶だった。


「ぉおおっ、またスキル結晶か最高だな。ナイスリア」


 リアからスキル結晶を受け取り、早速鑑定を始める。


「鑑定」


【スキル結晶】

『異空間Lv1』

※一辺二メートルの立体正方形の異空間を作り出す。

※Lvが上がる事に一辺の長さは倍になる。


(なんだこのやば便利なスキルは、これがあればアイテムボックスの代わりになるってことだよな?使うまでは分からないけど、もしそうなら便利すぎる)


「異空間、ってスキルが入ってる」


「異空間?」


「うん、詳しくは使ってみないとだけど、これ、俺が使ってもいい?」


「もちろん!元々ここのボス骨骨はディオが倒したんじゃん。それに私が倒してても、スキル結晶は全部ディオが使っていいんだよ」


「ありがとう、ならこのスキル結晶は使わせもらうよ。他のスキル結晶とかはその時に、また一緒に考えような」


「わかった」


「じゃ使うよ。スキル結晶・使用」


 一瞬にして身体全体が黒い靄に覆われ、近くに居るリアの姿は薄っすらと見え、他は一瞬にして何も観えない黒い視界の状態になっていた。


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