第22話・ダンジョンには居るボス
慎重に進んだ俺とリアがスケルトンを発見しては、アイス・バレットで倒し、リアの魔力量は余り多くないので二,三発撃っては少しの休憩を挟み進む。
リアに俺が倒そうかと提案すると、ディオは大人しく私の手を握って離さないで、と言われたので俺は手をずっと握っていた。
非効率な進行でも着実に進み、二時間以上も経つ頃にはリアがスケルトンを三十体は倒しただろう所で、急に視界が開けた大きな空間に、辿り着いていた。
そこにはこれ程かと思うほどの大きな扉があった。
「なんだろうね、ここ」
「う~ん、まぁボスでも居るんじゃないか?扉でかいし」
「ボス?それってまた、スケルトン?」
「流石にそれは開けないと分からないかな」
「なら、開けましょ、せっかくここまで来たんだから、無駄になるのは嫌」
リアはこれまでのスケルトンを倒した苦労を無に帰すのは嫌なようで、逆に躊躇っていた俺よりも扉を開けたがっていた。
(今度リアには何かお礼をしないとな)
「よし、なら開けるか」
俺とリアは二人で片側の扉を全力で押し、大きな扉が、ゆっくりと開いていく。
バスケットコートが三面は有りそうな程、巨大なドーム状に作られた部屋の壁は光り輝き、その中央にはローブを身に着けたスケルトンが居た。
(ローブ…魔法か)
「リア、恐らく彼奴は魔法使ってくる気をつけろ」
「魔法?」
道で会ったスケルトンとは違い、戦闘開始の合図も無ければ待つはずも無く。スケルトンの右手が俺達に向けられた途端、その頭上には全てを火の塊で形成された、ファイヤバレットが無数に浮かんでいた。
「まずい、リア!」
「ん。」
スケルトンから大量のファイヤバレットが俺とリアに向かって飛んでくる。
俺が目の前に無透明の壁を作るも魔力強度は弱く一発で破られ、遅れてリアが氷の壁を作ったがファイヤバレットの総数と、一発一発の威力が高く。
壁に大きなヒビが立て続けに作られ、氷の壁は砕け散り、残りのファイヤバレットが俺とリアの足元付近に着弾し、その爆風で俺達は吹き飛ばされていた。
「リア…」
背中を地面に擦りながら吹き飛ばされた俺が身を起こし、近くに横たわっていたリアを呼んでも返事がなく。
意識を失ってるのだけなのか、相当やばい状態なのかは分からないが、幸いリアの前に居た俺が生きてるのだから生きてると信じていても、現状を変えない事には死は免れない。
(最悪だ…何だよあの威力、道中のスケルトンから明らかに格がちげぇだろ)
背中から熱くなってくる感覚があるものの、まだ動ける身体を動かし立ち上がるが満身創痍も良いところだ。父が身体に叩き込む教え方だったおかげで丈夫になっているのなら、感謝した気持ちすら抱いていた。
「倒さないと死ぬしか無いんだけどな」
相手のスケルトンは、また右手を上げ始めていた。
(このままじゃ俺だけじゃなくリアも確実に死ぬ、それだけは嫌だ。なんか方法はないのか、でもこんな道中のスケルトンと違って、強くて丈夫な…)
「なんで、丈夫って決めつけてるんだ。――れ、」
下がる事も出来ず、次弾を同じ場所に撃たれてもリアが巻き込まれる可能性を考えて尚、歯を食いしばり走り出していた。
走り出し抜き出した剣を片手を利き手じゃない方に持ち直し、その間にスケルトンがファイヤバレットを斜めに走っていた俺目掛けて放っていた。
(良かった)
「イン…」
形成されてから放たれた初撃の間隔を思い出し、感で大きく横に跳躍し、スケルトンの手の方向が変わった時点で、大きく走り出しスケルトン目掛けて後ろ向きで飛んだ俺は、右手をほぼ下に向け叫んでいた。
「―パクトッ」
瞬時に現れたコップの形状の中に現れた丸い球体が爆発し、その風圧が一瞬にしてコップの縁部分を吹き飛ばしながらも、一点に強く集約された衝撃が自身の身体を高く上に吹き飛ばし、その下を炎の塊が通過していた。
「くたばれーッ‼」
吹き飛んだ空中から首を先に捻りスケルトンとの距離を把握し、落下し激突する直前に身を捻った勢いが乗った剣を左手で強く握り締め、打ちつけていた。
剣が骨を叩きつけた音が聞こえた後にやってくるのは、骨と薄皮を挟んだ骨が勢い良くぶつかる音が身体中と伝い。
「ぁッ」
その先にあった地面に受け身を取らずに落ちた俺は頭を強く打ちつけ。
――意識を失ってしまった。
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