第4話
家に帰ると一番最初に妹のユナが迎えてくれた。
「あ、にぃにぃおかぇりぃ」
「ただいまユナ、お兄ちゃんはどうにか帰ってこれたよ」
「あらあら、何かあったの?」
「ディオが行く時に村まで歩いてな‥」
バツが悪そうなアギト父様が小声で話した。
「貴方が歩かせたのね?」
顔は笑ってるが目が笑ってないカルア母様がアギト父様を見つめていた、やはりこの家は母様が一番らしい、反抗しないようにしよ。
「ディオが音を上げたら、担いでやろうと思ったんだ、だから帰りはほぼ担いで来た、なぁディオ⁉」
「そうですけど、行く時も担いで欲しかったのに、僕が倒れそうでも、凄いな、って言うだけで担ぐって事も言ってもらえなかっただよ、母様」
少し目を潤せ話してみた。
「あら、それは‥それは、ディオ貴方は部屋で休んでなさい、昼ご飯は食べたくなったらいつでも来ていいから」
「はい、分かりました」
「ユナもお兄ちゃんの部屋でのんびりして来なさい」
「は~い」
ユナを連れ部屋に避難した。
俺が扉を閉めると母の声が微かに聞こえて来たが、俺は余り気にしないようにし、部屋の隅の地面に寝転がった。やはり木は何だか落ち着く。
そのまま落ち着いた俺は、ユナを部屋に残したまま眠りについたのだった。
―
―
―
目が覚めると窓はしまっており隙間からも光が見えず既に夜の様だ、俺はどれほど寝たのだろうか、時計が無いこの世界では分からない、だけど耳をすませばダイニングからユナやアギト父様の声が聞こえてきた。
まだユナが起きてていい時間か、それなら夜ご飯あるかな、流石に朝から何も食べてからそろそろ辛い。ゆっくりと起き上がりダイニングに向かった。
「嘘っ‥起きたの?ディオ‥‥」
何でしょうかその薬を盛ったのに、起きてきた変人を見るような言葉は。
「おはようございます、母様。何かご飯はありますでしょうか?」
「いま、用意するから、ちょっと待っててね」
「おはよぉお兄ちゃん、おやすみ」
「おやすみ。今日は遊んでやれなくてごめんな」
「あしぃたはあそんでね」
「うん」
そう言ってとことこ1人で部屋に歩いていった。
「ディオ、よく眠れたか?」
今朝と同じ様に聞かれ、同じ様に返した。
「はい、ちゃんと眠れました」
「そうか」
カルア母様がご飯を持って来てくれるのを待った。
取りに行こうとも考えたが、何故か父様が俺から目をあまり離さないのでそのまま座っている事にしたのだった。
そして母様が持ってきてくれたのは、パンとシチュー実に有り難い。
その味は日本で1人で食べてた物より何倍も美味しく、俺は終始満足げに食べ続けた、そして俺が食べ終えるのを見計らって話が始まった。
「ディオ、貴方に言わなくちゃいけない事があるの」
「はい?何でしょうか」
急にそんな大事な言い方をされた俺は警戒するように聞くことにした。
まさか俺が本当の子じゃないとかの話だろうか。
何だが物凄く重い空気を感じるぞ。
「貴方の固有能力についてよ」
そぉっちかぁああい!!!
俺は自分の心の内でツッコミを入れた、だって固有能力でそんな重い話になるのかよ、+10の宿命とかがまさかあるのか?
「俺とカルアはお前が早く起きて来て確信した」
「え、何をですか?」
「「ディオは恐らくもう眠れない」わ」
「はぃ?」
二人して何を言ってるんだ?
俺は眠れるじゃないか現にさっきも寝て起きて来た。
「ディオ、本来固有能力を授かって一度眠りにつけば丸一日は寝るものよ。それをディオはたった数時間で起きてきた固有能力が既に効力を発揮した証拠よ」
「俺も最初は、睡眠系の外部からのものを防ぐもんだと思ってたが、何もして無いのに起きてきたのならディオ、恐らくその固有能力はあらゆる現象から眠るという事に対して力を発揮する。そして+10は人では辿り着けない領域だ、これから眠れないとしても何ら不思議は無い‥‥」
意味が分からない。
つまり俺はもう眠れない?そう言いたいのか?
「やッ」
「「や?」」
「やったぁあああ!!!つまりこれからは寝ないでずっと魔法の練習とか本が読めるって事ですよね!?」
「ま、まぁ、そういう事になるわよね?」
「お、おう、そういう事になるな」
「それに今日アギト父様が、カルア母様に魔法を教えてもらうえる様に話をすると言ってくださりました、これは神のお告げですよ!僕は寝ないで魔法の練習をするんだぞッと、そういう事ですね?」
「ん~ん?あぁそうかもしれないな。」
「ディオ良かったじゃない、でも魔法?貴方またそんな事勝手に言ったの?」
「まってくれカルア、あれはリアが魔法をカルアから教わってるって話をして、ならディオが自分もって話になったんだよ」
「そうね、固有の儀も終わった事だしそろそろ教えましょうかね」
「やった」
「でも今日はもう遅いから、明日で良い?」
「はいッありがとうございます、カルア母様」
「ディオ将来何かなりたいのはあるか?その固有能力とスキルだと俺からアドバイス出来るのが‥」
「あら?、眠れないのなら最高の仕事があるじゃない」
「母様それは?」
「不眠不休の鑑定士よッ!」
「ンッ『なのブラック企業よりも酷いじゃないかぁぁあああ!!!!』」
俺は内心で焦り必死に自分で否定していた。
ダメだ、このままでは俺の未来は無い!それなら‥‥ハッキリ言おう。
「どうかした?」
「母様、父様、僕決めました。僕ディオ・オルトラークは冒険者になります」
「誰に似たんだか。良いんじゃないかしら」
「良いぞ、好きなだけ旅をするんだな」
二人共その答えを聴きたかったのかは分からないが、直ぐに顔つきが変わり雰囲気も明るくなり否定する事なく了承してくれた。
そして俺が冒険者になりたいと言った後、色々と話を聞かせてもらっていたが、俺に気を使って眠らないつもりだったので、俺も横になると自ら言い部屋に戻る事で、二人にも部屋に行ってもらった。
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