第3話・永遠の固有能力
「それでは、これより固有能力の儀を行います。順に並ぶように」
一人の神官と思われる人からの指示を聞き、座っていた人達が一斉に並びだす。
「別に最後でも良いよな?」
「はい、大丈夫です」
アギト父様とルークさんがこの混雑の列に並ばずに、待とうと話が決まり俺達は変わらず立ち話をしながら待っていた。
俺は先頭に並んだ子に注目しこれから、どう行われるのか見ていた。
先頭の子が神官の前で立ち止まり、置かれてある水晶に手を当て、神官も逆方向から水晶手をかざす。そして水晶が微かに光出し神官が数秒で口を開く。
「君の能力は+1、斧+1です。そしてスキルは脚力up小ですね。これから頑張りなさい」
「はい!有り難うございます」
少年が大声で礼を言い、列から後ろの家族と一緒に離れそのまま教会から出ていった。
それにしても斧を使う時に足腰は重要だったりするが、脚力がどこまで影響するのか考えると最高の組み合わせでは無いだろうな、勿論予想はしていたがハズレを引かないのは大前提だが、組み合わせも重要だな。
それぞれが中途半端でも組み合わせ次第ではそれは、最高だったりするだろう、難しいなこれはそれで教育の方針を決断する親も苦労するな。
「ねぇ、ディオはどんな能力が欲しいの?」
いきなり呼び捨てですか。
マジですか、いや。この歳なら当たり前か!?
それにしても近いし可愛い。
「魔法が強くなったりするのが良いな」
「一緒だね、私も魔法が強くなるのが欲しいって思ってるの」
「どんな魔法の?」
「うん、氷でドーンって守れるの!」
凄い程にざっくりとしてるが、この歳では当たり前なのかもしれないが、幼稚園の先生でも無かった俺では、平均的な五歳時がどんなかまるで分からない。
「氷か、良いね綺麗で強いもんね」
「綺麗なんだよ、それに私の髪と同じ色だもん」
「見た事があるの?」
「あるよ、私が少しだけ使えるの、カルアさんって人が教えてくれてね」
泣いても良いだろうか。
いやもう泣きそうだ。
俺は泣くのを我慢してる少年の顔でアギト父様を見つめた、それに一目散に気づいて父様が慌てて話しかけてくる。
「どうした!?何があった‥」
「カルア母様はリアちゃんに魔法を教えてるのでしょうか」
「ぁ、ぁぁ教えてる。そう聞いてるぞ、そうだろメリス?」
慌てたアギト父様がメリスに焦るように問う。
「はい、カルアさんにはお世話になってばかりで‥」
先程のお世話になってるとはこの事だったのか。
「僕はまだ魔法を教わってないのですが…」
「気にする事じゃ、無いさお前は母さんと俺の子だからな、直ぐに魔法なんて覚えられる、そう思って今日までは伸び伸びとさせてただけだ」
そう力強く言うアギト父様だがどこか、言葉に詰まりを感じた。
だが今日から教えてくれそうな雰囲気だ。
「なら僕も今日から教わりたいです!」
「も、勿論だ、帰ったら俺からカルアに話をしてやる」
「有り難うございます!」
俺は礼を言いながら満面の笑顔を見せた。
「ねぇねぇディオ、あの人魔力量+2だって良いよね!」
「それは良いな、俺達も何貰えるか楽しみだな」
「うん!」
そんな無邪気なリアと話をしていたらあっという間に順番は回ってきた。
「それでは、次の子よ」
「はい」
リアが元気よく返事して一歩前に出る。
「この水晶に手を置いてください」
リアが指示に従い手を置く。
そして既に何度も見た光景だが、神官が手をかざし水晶が光出す、しかしこの距離で見てるからか水晶の光が強かった。
「まぶしぃ」
リアが目を瞑り横を向く。
「君の能力は+3、魔力強度+3です。それとスキルは魔力消費軽減(小)です」
「やったぁああ!やった母様私、魔力強度+3だって」
「分かったから、先にお礼を言いなさい」
「ありがとうございました」
リアは深くお辞儀をして俺の後ろに居るメリスさんとルークさんの所に移動した。
「それでは最後に君だね、随分待ったろうぉさぁ前に」
神官の方からそう言われ、前に出る。
「手を置けば良いんですよね?」
それが当たり前でも確認してしまう、俺の良くも悪くも癖である。
「そうじゃ、水晶に手を置くだけで大丈夫だ」
俺はそのまま水晶に手を置き、光るのをまった。
神官が手をかざし水晶が光――
パリンッ
水晶は一瞬だけ物凄い光量を出し光、粉々に砕けた。
「なんと……」
「大丈夫かっディオ!」
アギト父様が心配した様に声をかけるが、俺は大丈夫だ、それよりスキルが貰えないとかそっちの方が嫌だ、直ぐにどっちか確認する為、俺が神官の反応を見ると目を見開いていた。
「あの、僕は固有能力もスキルも貰えないのでしょうか」
「いや両方ともある…能力は+10……」
聴き間違いだろうか、今+10って言わなかった?
その場に居た俺以外の四人全員も驚き、神官が次の言葉を発するまでの沈黙が続いた。
「固有能力は睡眠耐性+10じゃ…生きてるうちに+10が観る事が出来るとは、夢にも思わなんだ‥」
また聴き間違いだろうか。
ナンテ言った?睡眠、耐性?つまりどういうこと?俺は敵の攻撃で眠らなくなったって事?俺が睡眠爆破される心配が無いって事だよね?
「それとスキルは、何だったのですか!?」
アギトが催促するように慌てて神父に問う。
「スキルは、鑑定Lv2である。これにて儀は終了とする」
「「「・・・」」」
告げられ唐突な終わり、終わりが来るのは当たり前だが、神官も後ろの大人3人もどうして良いのか分からない、そんな雰囲気が流れていた。
「ディオすっごぉおい!!+10だよ!10最強じゃん!」
「そうだよな、最強だよな!」
リアが深く考えず+10というだけで、最高に高いテンションで話しかけて来た事により、他の人達の硬直も溶けたらしい、無邪気な子供はまさに最強だった。
「帰ってカルアにも自慢するかディオ」
「はい!」
俺も無邪気を装って返事をしたのだった。
けれど分かっている、反応からして余り凄い過ぎる訳では無いのかもしれない、恐らく大剣類が+の固有能力を持っている父としても、どう言葉をかければいいのか迷った筈だ。
鑑定かぁ。
今すぐ使えるのかな?
俺はリアを凝視するよに注意深く見ながら、鑑定と心で唱えイメージすると、目の前に半透明のウィンドウの様な物が何もない空中に表示された。
リア・フィンダLv1
名前とLvだけが表示されていたのだった。
なるほど鑑定Lv2で見れるのは、それだけなのか他にもステータスとか見たかったんだが、Lvを上げれば見れるだろうか、そもそもどうやってLvを上げたら良いんだ?
アギト父様に聞いて。
その前に見てみるか?鑑定があるんだし。
いや、やっぱり止めよう。
強い人程、相手から何かアクションを起こされれば気づく筈だ、今ここで不用意に行動を起こせば、違和感を与えてしまうかもしれない、良くも悪くも元の人格のディオは、勝手な行動をする自己意識が低かったと記憶で分かるのだから。
そして教会から出て帰路に着く。
リア達も同じ方角らしいのだが、此処まで出て来たから広場の周りで買い物をしてから家に戻るみたいで、俺とアギト父様の二人だけがまた永遠と続くような草原の道を歩いていた。
俺は学んでいる。
帰宅道そうそうに、俺は足が限界だとギブアップを申し出て担いでもらった、ここで要らないプライドなど出せば、明日から何日動けなくなるか分かったもんじゃないからな、それに子供はそんなプライド持っていない筈なので気にしないようにした。
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