雪だるま

「…おーい。おーいマミ聞いてる?」


呼ばれてる事にようやく気付くと、目の前に大地が座っていた。手を横にヒラヒラさせてる。


「どうした?珍しくボーッとして。」


「ダイチ…。やばい、普通にボーッとしてた。」


「黄昏れてたか?」


「校庭見てたんだ。色んな人の事見てたらさ、みんな何の話しして何考えてるんだろうって思って。」


「黄昏れてんじゃん。もう少し校庭見てる?」


「ううん。もう帰るよ。」




雪道に足跡がたくさんついている。少し固まり始めた雪は、踏むたびにシャクシャクと音がする。


「なんか足の指やばいんだよね。霜焼けになりかけてる。」


「そうなの?俺今まで霜焼けってなったことない。どんな感じ?」


「マジ?羨ましい。ほとんど毎年なるんだよね。最初は痒くて、症状が酷くなると痛みも出てくるの。もっと酷くなると、破れちゃうんだよ。」


「えー怖いんだけど。」


「破れた事はまだないんだけどね。血の巡り悪いのかな。」


「冷え性だよね、マミ。毎年は辛いね。」


「ダイチも霜焼け経験してみる?」


「えー絶対やだ。」




真海の家の前に着く。


「雪だるま作らない?」


「いいけど、霜焼け大丈夫?」


「大丈夫。小さいやつだからすぐ出来るよ。」


「あぁ、小さいのね。」


「大きいの作りたかった?これくらいの!」


真海は両手で大きな丸を作り大地をからかう。


「小さいのでいいよ。じゃないと霜焼け出来るよ。俺雪だるまの体作るからマミは頭作って。」


「オッケー。」


柔らかめの雪を集めてコロコロと転がしながら丸い形にしていく。手袋がすぐに雪で滲みてビシャビシャになった。


「冷たーい。」


「俺も。手の感覚なくなってきてる。マミ頭作った?完成させよう。」


体に頭を乗せて、その辺に落ちてた石で顔をつくる。体の左右に枯れ枝を刺して、小さい雪だるまが完成した。


「出来た!かわいいね。」


「いーじゃん。この表情がいい感じ。」


「いっぱい増やしたいな。また今度作ろう。」


「次やる時は防水の手袋して作りたいな。」


「だね。さすがにこの手袋じゃ冷たすぎるー。」




「ただいまー。また少し雪積もったね。」


「おかえりー。寒くてストーブから離れられない。鍋作っておいたよ。」


「ありがとう。助かるー。そういえばかわいい雪だるまあったね。作ったの?」


「うん。ダイチと作った。いーでしょ。」


「うん。あの顔が絶妙だね。大きさも丁度いい感じ。」


「でしょ?手袋滲みて冷たかったよー。うちに防水の手袋ってある?」


「防水の?んー多分どこかにあると思う。後で探しておくね。」




窓の外を見るとキラキラと雪が落ちている。薄暗い外の明かりに見えた雪はいつまでも降り続けていた。

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