水平線
「あーいっぱい遊んだ。楽しかったねー。」
「うん。また皆で遊ぼう。今度皆で俺の家に遊びに来てよ。」
「そうだね!行ってみたい。ヤバいやつちゃんと隠しておかないとね。」
「何だよヤバいやつって。別に何も無いよ。」
「またまたぁ。あ、そういえば梨すごい美味しかった。お母さんも喜んでたよー。」
「そっか。良かった。甘い梨だったね。」
「うん。またよろしくねー。」
「おう。」
秋の夕陽が二人を赤く照らす。波の音が静かな夕暮れに際立っていた。
「ちょっとそこ座らない?」
大地が塀を指差す。
「いいよ。」
二人は並んで座り真っ赤な海を見つめる。
「前も言ったと思うけど、俺海好きなんだよね。」
「そういえば最初の頃言ってたよね。」
「うん。小さい頃この辺に住んでて、よく海に遊びに行っててさ。まだ親父がいた時だったから、よく連れてきて貰ってた。」
「そうなんだ。今はお父さんと会ったりしてるの?」
「千葉に居たときは年に数回会ってたよ。こっちに来てからは全然会ってない。たまにメールするくらいかな。」
「離れちゃうと中々会えなくなるもんね。」
「まぁね。前に親父の家に行った時、結構散らかってて。親父一人暮らしだからさ。ゴミ捨てて部屋片付けて、その日は掃除で終わったわ。」
「優しいね。よっぽど散らかってたんだ。」
「うん。趣味も特に無いし、仕事と家の往復で酒飲む事位しか楽しみないらしい。」
「そうなんだ。ダイチとも中々会えないし、今寂しいだろうね。」
「そうなのかなぁ。」
「たまに会いに行ったら?お父さん喜ぶよ。」
「だね。連絡してみる。」
「うん。千葉のお土産待ってるから。」
「そっち?じゃあ、落花生でいいか?」
「いいねー。好き好き!」
「何でも食べるよね、マミ。好き嫌いないの?」
「んー別に無いなぁ。何でもオッケー。」
「へーすごいね。俺ナスだめなんだよな。」
「マジ?何で?」
「食感が苦手。喉ピリピリするし。給食でナス出たときは残してたわ。」
「そうなんだ。焼いたり、あと天ぷらなんか美味しいんだけどな。」
「ナス貰ったらマミにあげるから、食べて。」
「やったー。お母さんも苦手なの?」
「食べれるけど得意じゃないみたい。遺伝かな?」
「それはないんじゃない?たまたまだよ。」
水平線に太陽が重なり、静かに落ちていく。
二人はゆっくりと夜になる瞬間をしばらく見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます