待ち合わせ

「夕方には帰るから。じゃ、行ってきまーす!」


「はーい。気をつけてね。」


約束の時間より少し前に家を出た。

門の側でダイチを待つ。


デートらしくいつもより女子っぽい格好にした。膝丈のスカートを履いて白いバッグを持ち、髪も編み込んでみた。


「お待たせー。おはよう!」


「おはよう!おーイケてるじゃん。」


「そう?ありがと。マミもいい感じ。」


「でしょ?ダブルデートだからね。オシャレしてきたよ。」


「俺ダブルデートなんて初めてだよ。麻美の彼氏と合うのが一番ドキドキする。」


「あはは。ある意味ね。」


いつも映画館に行く時はバスで行く。

家から歩いて行けば30分くらい。話しながら行くのに丁度いい距離。海を横目でチラッと見ると今日の波は穏やかだった。


「そういえばマミって夏嫌いって言ってたよな。」


「そうだよ。秋が一番好きなんだ。」


「まぁ今ぐらいの気温が一番過ごしやすいよね。」


「うん。」




妹の事はダイチに言えないでいた。別に隠したかった訳じゃない。話す勇気がまだ持てないでいた。


落ち葉が風に乗って二人のもとに降りてくる。色とりどりの葉が二人の行く道を彩っていた。

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