梨とポップコーン

「明日何時に待ち合わせにする?」


満面の笑みで麻美が聞いてきた。


「映画館に30分前に着けばいいよね?確か10時スタート?」


「じゃあ9時半集合ね。終わったらご飯食べに行こう。」


明日、麻美と麻美の彼氏と、私とダイチの4人で遊びに行く。ダブルデートみたいな感じかな。


ダイチとは冗談も言い合える仲になって、放課後一緒に帰ったり遊びに行ったりする。

気を使わなくていいし話しやすい。

まだ家に遊びに行った事はないけど、そのうち皆で行こうっていう話になってる。




「明日行く映画さ、前からずっと観たかったんだよね。」


「俺も。映画館で観るの久しぶりだー。マミも久々なんだっけ?」


「うん。家で観るのは楽でいいけど大きいスクリーンはやっぱ迫力違うもんね。明日何食べよっかなー。」


「やっぱポップコーンとコーラでしょ。」


「そう?うちはポップコーンとオレンジ!」


「あれって食べると止まんないよね。最初の方で全部無くなっちゃう。」


「分かるー。何味好き?俺はキャラメル。甘いやつにコーラは最高に合う。」


「私もキャラメル一番好きだな。」


「あー食べたくなってきたー。家にポップコーンあったかな。」


「あはは。明日まで我慢我慢。我慢したあとに食べるの最高だよ。」


「じゃあポテチ食べて我慢するわ。そうだ。叔父さんから梨貰ったから食べる?」


「食べたーい。ちょうだい!」


「じゃうち寄ってって。何個食べる?」


「2個貰っていい?」


「いっぱいあるからもっとあげるから。」


「やったー。一回自分の家戻ってからそっち行くね。」


「分かった。じゃまた後で。」




真海は自分の部屋に行き、袋にお菓子を入れて青山家に向かう。


「はい、これ。梨のお礼!」


「え?何?」


ガサッ


「マジ?ポップコーンとポテチじゃん。ありがとう。」


「私のおやつ、特別にあげるから。どっちも塩味だけど。食べ過ぎ注意ね。」


「おう。はい、これ梨。お母さんと食べて。」


「ありがとう。やったー。」


「じゃ、明日9時半映画館ね。っていうか、ついでだから一緒に行くか?」


「そうだね。そうしよ。どこで待ち合わせる?」


「マミの家に迎えに行くよ。9時でいい?」


「うん。寝坊しないようにね!」


「俺は朝早いから大丈夫だけど。マミやばいんじゃない?朝弱いよね。」


「あはは。知ってた?お母さんに起こしてもらうから大丈夫。」





貰った梨を仏壇に御供えする。手を合わせ、いつものように父と妹に声をかける。

写真に写る二人は、今日も笑顔で真海に語りかけていた。

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