帰り道
ホームルームが終わった。
バッグを肩に掛け、麻美と校門まで一緒に歩く。
「じゃあ頑張ってね、真海。応援してるから!」
「はいはい。頑張りますよー。また明日ね!」
麻美とバイバイし、校門を出て少し歩いた右側で青山君を待つ。
次々と生徒達が通り過ぎる。目立たないようにうつむき加減で待っていた。
「笠井さん、お待たせー!」
青山君が少し息を切らして来た。
「じゃ、行こうか。」
青山君と一緒に帰るなんて、今の今まで全く考えたことなかった。改めて思うと、こうして並んで歩いてるのが不思議で仕方ない。
(ダメダメ。別に意味はないんだから普通に話さないと。)
「青山君っていつも真っ直ぐ家に帰るの?」
「んー、友達と遊びに行ったり行かなかったり色々だよ。」
「そうなんだ。もうすっかりクラスの皆と仲良くなってすごいね。」
「俺緊張しないタイプだからなぁ。皆良いやつだしさ。」
「確かに。意地悪な人いないもんね。」
「だね。さすがに転校したばっかの時は緊張したけどね。」
「もう一ヶ月位経ったもんね。早いなぁ。」
「うん。ほんとだね、早い。もう秋だし、夏終わっちゃったね。」
「寒くなってきたよね。でも私、秋が一番好きだな。夏は嫌い。」
「暑いから?」
「まぁ、そうだね。そういえば、お母さん大丈夫なの?」
「うん。過労が原因だったみたい。病気じゃ無くて良かったよ。」
「そうだったんだ。良かったね。」
「うん。朝、学校行こうとしたら急に倒れてさ。慌てて救急車呼んで病院行ったんだ。俺初めて救急車乗ったよ。」
「青山君いるときで良かったね。二人暮らしだもんね。」
「そうだね。すぐに病院連れて行けてよかった。今はもう普通に生活してるよ。」
「良かった。」
他愛もない話をいっぱいした。
会話が途切れないように色んな話題を出して話し続けた。疲れたけど居心地が良かった。まるで前も一緒に帰ったことがあるような不思議な感覚だった。
この日をきっかけに、私達は週の半分一緒に帰るようになる。
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