クジ運

「久しぶりに席替えしまーす。ここに入ってるクジを引いて、黒板に書かれた番号の席に座って下さい。」


「うわー緊張する」

「一番うしろになりたい」

「前だけは嫌だー!」




私はクジ運が無い。

ガラガラを回してもいつもティッシュ、ビンゴゲームだって最後の最後まで当たらない。

でもクジを引く度に『今度こそは』と期待してしまう自分もいる。


(後ろの席になりたい。そして窓際だったら最高!)


少しドキドキしながらクジを引く。


『26』


念願の一番うしろの席。しかも窓際。


(もしかして一生分のクジ運使ったかな。でも嬉しい。)


こんなに希望してた席に座れることは初めて。授業中もウトウトしやすくなる。


荷物を持ち新しい席に移動する。同じ列の2つ前が麻美だった。


「麻美、近くなったね。」


「真海〜最高の席じゃん!交換してほしー。」


「絶対ダメー。」




席を移動して気付いたが、隣の席は転校生の青山君だった。


「よろしくね、笠井さん。」


相変わらず爽やかな笑顔だ。


「よろしくね、青山君。一番うしろ最高だね。」


「そうだね。ずっとこの席がいいな。」




窓の外には綺麗な青空が見える。雲の流れもはっきりと見える。

みんな後ろの席がいいに決まってる。


真海は肘を付きながら早速ウトウトする。そのぼんやりした目線には鳥が気持ちよさそうに飛んでいた。

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