金魚すくい

「うん。かわいい。似合ってるよ。楽しんでいってらっしゃい。」


「お母さんありがと!行ってきます。」


年に一回の浴衣。今年も母に着付けをしてもらった。これを着ると『夏』って感じがする。せっかくだから花火大会楽しもう。




「麻美ー!」


「真海ー!浴衣かわいい!」


「ありがとう。麻美も浴衣似合ってるよ!綺麗な柄だねー。」


「ありがと。この柄と色に一目惚れしてさ。」


「篤人君は?一緒じゃないの?」


「今日バイトで少し遅れるって言ってた。休めなかったみたい。」


「そうなんだ。早く来るといいね。他の皆は?」


「先に出店に行ったよ。うちらも合流しよう!」




たこ焼き、りんご飴、綿あめ、金魚すくい…出店がたくさん並んでいる。


「あ、いた!金魚すくいやってるー!」


「香菜、すごいじゃん。名人かよー。」


「得意なんだよねー。まだいけるよ!」


香菜の左手には金魚がすでに6匹泳いでいる。そういえば去年も香菜の金魚すくいで盛り上がったなぁ。


「青山君も頑張って!」


今からちょうど始めるみたい。何匹すくえるかな?


「うわっ、難しい…。」


一匹もすくえなかったみたい。私も金魚すくい得意じゃないんだよね。


金魚すくいは香菜の圧勝で終わった。

香菜の家には年々金魚が増えていく。

この間遊びに行ったら10センチ近い金魚がいてビックリした。私も前に飼ったことあるけどうまく育てられなかった。




「佐々木さんすごいなぁ。笠井さんはやらないの?」


「うん。うまくすくえないし、飼ってもダメにしちゃうから。」


「俺もなんだよな。可愛いから飼いたいんだけどね。」


青山君にも不器用な所があるんだ…意外。

そしてちゃんと浴衣着てる。似合うなぁ。




「お腹すいたから何か食べようよ。」


「そうだね。じゃあ男子と女子で分かれて買いに行こうよ。」


「男子は食べ物よろしくね。うちらは飲み物買ってくるから。」


人が段々多くなってきて、普通に歩いてもぶつかってしまう。はぐれないように皆で固まって歩く。


「何人だっけ?女子が5人で、篤人のは後で買うとして男子は4人か。9個だね。」




両手にジュースを持ち、少し離れていた男子と合流する。


花火が打ち上がる時間が近づいてきた。

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