羨望
8月最後の週末。
毎年恒例の花火大会が開かれる。
海辺で打ち上げられる花火は、海に反射して何倍にもキレイな姿を見せてくれる。
近くからはもちろん、遠くからも人が集まるほど好評だ。
「土曜日の花火大会、今年も皆で行こうよ!篤人も連れて行っていいよね?」
「もちろんいいけど、篤人君は二人で行きたいんじゃないの?」
「いーのいーの。皆で見たほうが盛り上がるしさ。後で皆に声かけておくから、真海は青山君誘っておいてね!」
「え?何で私?」
「お近づきの印に見に行きましょう♪ってさ。ね、お願いね!」
「えーマジ?」
昼食を食べ終えた後、真海は青山の姿を探す。
(あ、いたいた。)
「青山君、今度の土曜日予定ある?」
「明後日?別に何もないよ。何で?」
「花火大会あるんだけどさ、クラスの皆で行くから青山君もどうかなって思って。」
「花火大会かぁ。この近くでやるの?」
「うん。海辺でやるから近いよ。」
「いいね!行く。みんな浴衣着てくの?」
「そうだね。ほとんど皆着てるよ。」
「オッケー。せっかくだから俺も着ていくわ。」
「じゃあ、時間と場所決まったら教えるね。」
「あ、笠井さん。良かったら連絡先教えてもらえる?」
「え?」
「迷子になったら連絡するからさ。嫌だったらいいけど。」
「あはは。迷子か。確かに知ってた方がいいよね。」
お互いの連絡先を交換した。
(久しぶりに電話帳に新しい人登録したなぁ。)
「青山君も行くって。時間何時にする?場所はいつものコンビニでいいよね?」
「おぉーやったね。コンビニ集合で時間は5時にする?」
「そうだね。じゃあ話しておくから。」
「うちも皆に言っておくよ。楽しみだね!晴れるかな?」
「確かしばらく天気良かったよ。」
「そう?浴衣着ていこうね。新しいの買った?」
「買ってないよ。いつもと同じやつ着ていく。」
「私この間買ったから新しいの着ていく。楽しみにしててね。」
「分かった。いっぱい写真撮ってあげるよ。篤人君と一緒にね。」
「じゃあ、うちは青山君と撮ってあげるね!」
「何でそうなるのよー。」
何故か分からないけど、麻美は青山君と私を良い感じにしたいようだ。
青山君はいい人だけど、何回言われても全然その気になれない。
恋ってどんなだったっけ?思い出せないだけなのか、ただ単に分からないのか…。
恋する麻美が少し羨ましかった。
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