第4話 深夜のラボ……
「んぅ……?」
お腹に圧迫感を感じて、目が覚めた。
部屋がまだ暗いのでまだ夜だとわかる。
と、言うことは誰か俺の体の上にのるほど寝相が悪いやつでもいるのか?
渚は考がえながら体を起こそうとした。
したのだが……。
動かない?
動け動けと、念じて動かそうとしても動かない。
どしたんだ?
不思議に思って腕を動かすのは諦めて、無理やり体を動かして立ち上がろうとしたのだかそれもまた動かない。
つまるところ体が思う通りに動かせなくなったのだ。
なんなんだよ……。
首は動かせないか幸い、目だけは動かせるので体があることは影のようなものがあるので確認できる。
マジでなんなんこれ?
渚は、眠い脳みそで考えて考えて考えた末出てきたのはこれもしかして金縛りじゃね? である。
金縛りだと確定できないのは、まだ一度も金縛りになったことがないから。
な、な、な、なんかすごぉ〜……。
生きてきて16年。体を動かせないという状況を目の前にして恐怖するのではなく、歓喜していた。
それから5分後。
本当に金縛りって何もできないんだと知り、明日もあるので寝ようとまぶたを閉じた。
すると……。
ドッドッドッ……
ドッドッドッ……
いきなり心臓の鼓動とは全く違う、リズミカルな太鼓の音のようなのが聞こえてきた。
なんだなんだ?
渚は、気になって目を開けたのだがそれと同時に太鼓の音は聞こえなくなった。部屋は、さっき目を開けていたときのように相変わらず静か。
幻聴かな?
今日は突然死んで急に異世界で勇者になり、軍資金0で外に放り出され、たまたまゲットしたスライムの破片を売ってお金を手に入れることができたんだ。
うん。絶対疲れてて、幻聴が聞こえたんだな。
寝よ寝よ。
なんか嫌なことは考えずに、とりあえず疲れてたってことにしてまぶたを閉じた。
だがまたもや……。
ドッドッドッ!!
ドッドッドッ!!
リズミカルな太鼓の音が聞こえてきた。
今度は、さっきのと比べて臨場感がある音。
まじで何なん。
俺は、今すぐにでも目を開けて確認したいけどそんなことしたらまた音が聞こえなくなっちゃうかもしれないと思い、まぶたを閉じたままにしておいた。
ドォオオン!!
ドォオオン!!
ドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッドッ!!!!
ド……ドドッ……ド……ドドッ
ドドドドドドドッ!!!!!!
「いやさすがにしつこいわッ!!」
動かすことができなかったはずの渚の体は、思いっきり起き上がることができた。
その時、お腹の上に乗っていたものが地面に落ちていった感覚があった。
落ちていった足元を見る。
「へ?」
「は?」
そこにいたのは、一応俺の仲間であるエロフでもなくマッドサイエンティストでもなくココちゃんでもない。
真っ黒で短い毛並み。血管が浮き彫りになるほど、筋肉質な体。ゴリラみたいな体をしている、ゴリラ。
手に持ってるのは、小さい太鼓。
あぁ〜なるほど。このゴリゴリな太鼓を叩いて音を出してたのか。ふぅ〜ん……。
って、なんでこんなところにゴリラがいるんだよ!
寝る前、こんな見るからにゴリゴリそうなゴリラなんていなかったぞ!!
と、ゴリラに向かって言いたかった渚だったが、ゴリラの涙ぐんだ目を見て怒る気も失せてしまった。
「えっと……ゴリラくん? なんでこんなところにいるのかな?」
「…………うるせぇ」
「はぁ?」
渚は相手のことを泣かさないように、できる限り優しい言葉で話しかけたのだが返ってきた言葉は、反抗期の男のようなものだった。
「うるせぇつってんだよこのロリコン。てめぇ、今何時だと思ってる? 深夜の3時だぞ? 他の奴らが寝てんだよ。少しは気ぃ使えや」
「黙れやこのゴリラ。お前が太鼓なんて叩いてなかったら、こっちもこんなに怒ってねぇんだよ。てかロリコン言うな」
「はっ。あのガキが寝る静まったと同時に、寝顔を覗いてた変態がそんなことのたまうなよ。説得力ないぞ。ロリコン」
「ぐっ……女の子の寝顔を覗くのはずっと夢だったんだ。だから断じて、ココちゃんを狙ったわけじゃないんだ。てか俺は完全に巨乳派だからな」
「ほぉ〜ん……巨乳ね……」
巨乳という言葉に、ゴリラの目がキラっと光った気がした。
もしかして……。
「もしかしてお前、同族か?」
「ふっ……俺はゴリラだぞ? 同族なわけねぇだろつが……兄弟」
渚は兄弟という言葉を聞いて、やっぱりこいつもこちら側だったか! と確信した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます