第5話【本格的に、治療する決心がついた。】
2022年2月21日(月)。
オレは、真田クリニックに居た。
「オレ…。大きい病院で解離性障害の治療を受けたいから。紹介状を書いてください」
これは、オレとAYAが決めた事だった。
そう言ってから数日後。市内のある大きい病院に紹介状を書いてもらえた。
その病院では解離性障害の治療も行っていると、病院のホームページに掲載されていた。
「とりあえず統合治療の話を聞いてみて、良さそうなら受けてみたら良いと思うんだ」
「そうね。私達の良い所ばかりが残れば、最高なんだけどな…」
「『オレ達の良い所』?」
「そう。拓也のリーダーシップがとれて責任感が強い所・TAKUYAの的確な指示が出来る所・アヤちゃんのお掃除が好きな所・美由ちゃんの母性愛に溢(あふ)れている所・あと、私の女性らしい所…かな」
「そりゃあ最高だな。でも…障害年金を早く申請したいな」
「そうね。でも…お金がかかるし──」
「結局、住民税非課税世帯の10万円ももらえなかったしな~」
「うん。“あのお金で申請しよう”って思ってたからね…」
「アレは、痛かったな~」
多分、次に特別給付金が支給されるとしても、大分先になるだろう。
それを待っていたら、来年半(なか)ば…あたりか?
「美由ちゃんのお母さんに相談したいけれど…。多分、出してくれないもんね~」
「病院代だって、けっこう渋々出してくれてる感じだもんな~」
「美由ちゃんの家族って、本当に私達に冷たいよね…」
「『冷たい』っていうより、育て方自体が間違ってるんだよ。律はあの育て方で合ってたけど、美由達は、ああいう育て方じゃあダメだったんだよな」
「子どもって、1人1人違うのにね。1人1人違うから、育て方もその子に合った育て方をしなきゃあいけなかったのに…」
「何か…。美由ちゃん達が、かわいそうに思えてきた」
「親ガチャ?だっけ。アレ、大ハズレだな」
「そうだね…」
とりあえず、市内の大きい病院の紹介状はもらえた。
いつ治療に行くのかは、オレたちと美由の母親にかかっている──。
TAKUYAの観察日記。 TAKUYA.K @TAKUYA-K
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