第4話【とりあえず、努力してみる事にした。】

「『努力しろ!!』って言われても…なぁ?」

「うん──」

オレたちは、困り果てていた。



「とりあえず、つけてみるか」

「そうだね~」

夕食後シャワーを浴び、再び自室に戻ったオレたちは、B5サイズの『らくがきちょう』と印刷された物を広げた。


そしてつけ始めたものは…。『日記』だった。

オレとAYA、それぞれが書くものだ。“人格ごとに感じる事は違うから、日記は人格ごとに書いた方が良い”──そうオレが判断したからだった。


“日記をつけよう”と決めたのは、夕食前に、美由の父親に、「1年間日記をつけ続けられたら、一人暮らしの件を考えても良い」と言われたからだった。

多分1年間つけ続けたとしても、1年後、「たった1年つけただけじゃあダメだ」と言われるだろうが──。



「とりあえず、つけるのもイイよな?」

「まぁ…ね」



翌日から、他にもやる事にした。

最近ハマり始めたタロット占いの『タロットカードの意味を書く事』と、『寺田家から持って帰って来た荷物の整理』。


しかしそれらを数日間連続で行うと、日中に睡眠をとらなければならない程、思った以上に体力を消耗してしまっていた。

これでは、フルタイムでの仕事は出来そうに無い。



律に、「日中歩いたりして、体力をつけろ!」とも言われていた。

しかし、歩く事は得意で、かなりの距離を歩いたりは出来ていた。

ただ…面倒くさくて、していなかっただけだ。



「この調子だと、障害年金通りそうかなぁ?」

「『通るかどうか?』より、『申請までにこぎ着けられるかどうか?』じゃないのか?」

「…だよね~」


──そう。障害年金の申請には、たくさんの書類が必要だ。その中でも厄介(やっかい)なのが、『初診証明書』と『診断書』。両方とも病院で書いてもらうため、どうしてもお金が必要になってくるのだ。



「この家の住人って、私達のためにお金出してくれないもんね~」

「律になら、ヒョイヒョイ出すのにな~」

「本当に不公平だよね~」

「言い辛(づら)~」



オレたちは、困り果てていた。

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