第2話【調停終了】
2022年1月17日(月)。
ちょうど27年前、阪神淡路大震災が起きた日だ。
この日、ようやく調停が終了した。
「本当は美由さんに出てきて欲しいんですが…。無理そうですかね?」
「多分ムリですね。彼女、『もう外には出たくない』って言ってましたから…」
「『彼女』って、美由さんの事ですよね?」
「そうです。美由の事です」
この日も、調停にはオレが出席していた。
「じゃあ円満調停は『不成立』・面会交流は『3~4ヶ月ごとに面会をする』という事で『成立』で良いでしょうか?」
「はい。大丈夫です」
「じゃあ相手方を呼んで、裁判官立ち会いの元で儀式(ぎしき)を執(と)り行いますので」
「はぁ…。正人君も来るんですか?」
「はい。嫌…ですか?」
「いえ。大丈夫です」
そして裁判官・調停員達が立ち会いの元で儀式が行われ、ようやく調停が終了した。
オレは正人さんが入ってくる時に彼の顔をチラッと見ただけで、儀式を執り行っている間、正人さんの方を1度も向かなかった。
何か…美由が嫌がっている気がして──。
家に帰り、調停が終了した事を家族に報告した。
「要するに…。『今までと変わらない』って事だよね?」
「そう…なるね」
「じゃあ…。就職先、早く見付けてもらわないとね」と美由の母親。
“だ~か~ら~。こんなオレらを雇ってくれる就職先なんて無いっつ~の!!”
その言葉を言いたかったが、我慢した。
言ってしまうと、多分言い返されて、面倒な事になるから──。
オレは、面倒な事は嫌いだ。
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