第2話【空を飛ぶ夢】

ここ最近(10月31日から)、空を飛ぶ夢を見るようになった。

しかも、何かに掴(つか)まっていないとずっとずっと天高くまで飛んで行きそうな、いつも宙に浮いたような夢だ。


段々と自分で飛び方をコントロール出来るようになってきてはいたようだったが──。



その夢は、夜・明け方・昼寝関係無く見ていた。


それは、3日間続いた。



11月5日(金)。

保育士の求人に応募した。


“今度こそ、受かりますように!”

そう祈りながら──。



翌日。

神経内科を受診した。

AYAが受診して握力を測ったが、オレの時よりも、左手の握力が10kg程落ちていた。

彼女が握ったのだから当たり前だ。


「先月の頭から、リスペリドンよりも、ボルタレンやロキソニンの方が頭痛に良く効くようになりました」とAYA。

「そうですか。でもあまり使いすぎると、鎮痛剤による頭痛をひき起こすかもしれませんので、気を付けてくださいね」

「分かりました。ありがとうございます」



薬をもらい家に帰ると、美由の母親が昼食の用意をしていた。

しかし、明らかに5人分にしては、量が少ない。


「お母さん。スパゲッティー、2人分なの?」と、AYAが聞く。

「そうよ。お母さんと律の分。お父さんは、焼きそばが良いみたいだから。…美由ちゃんは?」

「焼きそばにする。…ところで、おばあちゃんの分は?」

「あっ!忘れてたわ。美由ちゃん達と同じ、焼きそばにしてあげてくれる?」

「分かった──」



美由の母親が2人分のスパゲッティーを用意している間、インターネットに繋(つな)げているテレビで、YouTubeを観る。


「まったく…。2人分の用意しかしないなんて。一体どういう神経をしているのかしら」とAYA。

「どうせ『お父さん達いつ帰ってくるか分からないから準備していなかった』とか言われるのがオチさ」と、オレが呆(あき)れたように言い返した。


──そう。美由の母親は、律と自分の事しか考えてはいないのだ。



「それでも、美由ちゃんのおばあちゃんの昼食まで忘れるなんて、酷(ひど)すぎるわ」


YouTubeから2曲程が流れた後、美由の母親が居間に入ってきた。



そして焼きそばを作り食べ終えた後、自室に向かった。


寒かったため、布団にくるまる。

「だって…。寒いの、苦手なんだもん」とAYA。



──そう。

今年は、秋が本当に短かった。

1週間も無かったくらいの感覚だった。

半袖で過ごしていたらすぐに寒くなり、長袖を引っ張り出してきてしまった。


普通なら、7分袖で過ごす季節が1ヶ月くらいは続くのに…。



夜になりお風呂上がりにYouTubeを開いてみると、ペガサスハイドが誕生日のライブ配信をやっていた。

前日にもライブをやっていたが、その時は、主人格の女性人格である、うささんが誕生日のライブ配信を行っていた。


途中夕食を食べるために配信から抜けたが、後夜祭は全部観てから眠りに就いた。



そして翌日。

自分が複数人と一緒に怪盗(かいとう)になる夢と、竜巻を間近で見る夢をみた。


ネットで調べてみると、怪盗の夢は吉夢で、竜巻は吉凶夢のようだった。

共通していた点は、『生活がガラリと変わる』という点だった。


「毎日ベッドの上で生活していて、何が変わるのかしらね~」とAYA。

「さぁ?『保育士の面接が受かる』とか?」

「…ま。それがフツーの考えよね~。『夢占いが当たれば』の話だけど」


そう言って、AYAは再びベッドに寝転んだ。

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