第3話【どこにでも通用する履歴書の書き方】
翌日(2021年10月21日)。
美由達は、河村隆一のInstagramを見ていた。
これは、最近の毎朝の日課だ。
「今日は、メッセージ書き込もうか?」と、美由。
「何て書き込むの?」と、オレが尋ねると、「《Ryu様、おはようございます。私は昨日まで半袖でしたが、さすがに寒くなり、今日から長袖になりました。あさってからの広島のツアー寒くなると思うので、お身体に気を付けてくださいね》…かなぁ?」
「長っ!!でも、打ち込んでみるか…」
そして、美由が打ち込んでいると──。
「あっ!!」
「あ~あ」
《Ryu様、おはようございます。》で【確定】を押してしまったため、メッセージが送られてしまったのだ。
「段を変えようと思ったのに…」
「インスタのメッセージって、段変え出来ないんだな…」
「これじゃあ、メッセージくれないね~」
少しだけガッカリした後、YouTubeでLUNA SEAの『MOTHER』を覚えてオレがカラオケで歌うと、「スゴいね~!!」と、美由が誉めてくれた。
その後、Instagramを見てみると…
【コメントであなたをメンションしました】と出ていた。
彼が、《おはよう》と、コメントをくれていたのだ。
「やった~!!嬉しい!!」と、テンションがMAXになる。
「また、明日も書き込もう!!」と、美由がとても嬉しそうに言った。
下に降り、履歴書を書く。
いつも困るのが、『志望の動機』だ。
基本的には、その場所でしか通用しない書き方をするのだが、今回は、なるべく1枚を回し使いしたかった。
「『この職からかなりの期間離れていて不安ですが、精一杯頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。』で、良くね?」とオレが提案すると、「そうだね。保育士も税務署も、かなりの期間離れていたのは事実だしね」と、美由。
そして、その通りに書いて履歴書は終わったかのように見えたが…。
「おい!『通勤時間』は?保育士の方は20分かからないけど、税務署は30分位かかるぞ!」
「あっ!!本当だ…」
「しかも、日付も」
「あちゃ~」
やっぱり、『どこにでも通用する履歴書の書き方』は無いらしい──。
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