第2話【“生きる”と決めた日】

その夜。

美由は、生きていく決心をした。


“まずは、家を出て働きたい”──彼女は、そう思っていた。

しかし、「家を出る」なんて家族に言えば大反対されるのは火を見るよりも明らかだったため、『働きたい』という事だけを話した。



「保育士募集してるところがあって、そこに応募したいんだけど…」

「働いて大丈夫なの?」と、家族。

「いつまでもお金出してもらうわけにもいかないでしょ?お父さんやお母さんだって、いつ死ぬか分からないし…」

そう言うと、

「分かった。とりあえず受けてみたら?」

と言われた。


「でも…真田先生に相談してからの方が…」と、律。

「でも、次真田先生のところに行くの3週間後だし…」

「そこの保育士試験、落ちたらどうするの?」

「落ちたら、11月末辺りに求人が出る税務署を受ける」

「──分かった。受けてみな」

「ありがとう」

そう言って、美由は微笑んだ。



洗い物を済ませ、自室に戻る。

「明日は、履歴書を書くのか?」とオレが尋ねると、「そう…なるね」と美由がそう返した。


その後、2人で眠りについた。

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