第15話 モテる男はつらい

 やあ、みんな! 俺っちだぞ。


 今回は前の続きで、高校時代の話をするぜ。


 快適な高校生活を送っていた俺っちに、ある日クラスメートの小平という男子生徒が、「オレと簿記部に入らないか」と誘ってきたんだ。


 小平とは割と仲が良かったし、他に部活もしてなかったから、俺っちは軽い気持ちで承諾したんだ。


 そしたら、俺っちの高校の簿記部は、過去に全国優勝を経験しているほどの強豪で、練習量が半端なかったんだよな。


 おまけに、先生が厳しかったから、練習中にギャグとか言える雰囲気じゃなくて、俺っちの個性はまったく活かされなかったんだよな。ぎゃははっ!


 部員も男子、女子ともまじめな奴が多くて、俺っちとは性格的に合わなかったんだけど、その中で唯一、平中ひらなか由美ゆみという女子生徒とだけは、気軽に話せたんだよな。


 彼女とは帰り道が同じだったから、いつも一緒に帰ってたんだ。


 ちなみに、俺っちが自転車通学で、彼女はバス通学だったから、自転車に二人乗りして、彼女をバス停まで送ってたんだ。


 そしたら、ある日それをクラスメートの女子生徒に目撃されて、俺っちと彼女が付き合ってるって噂されてさ。


 もちろん俺っちは否定したんだけど、付き合ってもいないのに、自転車に二人乗りするのはおかしいって、みんな聞く耳を持ってくれなかったんだよな。


 仕方ないから、その日から二人乗りはやめて、別々に帰るようになったんだけど、それでもみんな納得してくれなくて、彼女がいじめの標的にされるようになったんだ。


 こうなったらもう簿記部を辞めるしかないと思った俺っちは、すぐに退部届を出したんだけど、先生がなかなか受け取ってくれなくてさ。


 自分で言うのもなんだけど、俺っちはかなり優秀で、俺っちがいれば全国優勝も夢じゃないと思ってたみたいなんだよな。ぎゃははっ!


 それで、どうしようもなくなった俺っちは、先生にすべて事情を話したんだ。


 そしたら、先生は女子生徒たちに説教して、いじめはなくなったんだけど、その代わり、俺っちと平中が公認のカップルみたいになって、その後俺っちは、女子人気がガクッと落ち込んだんだよな。ぎゃははっ!


 ということで、今日はこれくらいにするぜ。


 じゃあ、みんな。あばよ!


 

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