第14話 落ち着け!

 やあ、みんな! 俺っちだぞ。


 今回から俺っちの高校時代の話をするぜ。


 大学に行く気がなかった俺っちは、近所の商業高校に入学したんだ。


 えっ、なんで商業高校にしたかって?


 それはもちろん、女子が多かったからさ。ぎゃははっ!


 なんたって、男子と女子の比率が、1対4。


 つまり、5人中4人が女子という、俺っちにとっては、とても快適な学校だったんだ。ぎゃははっ!


 一年時のクラスの男子は、はっきり言ってダサい奴が多かった。


 多分、中学時代モテなかったから、高校時代はなんとかモテようとして入学したんだろうけど、いくら女子が多いとはいえ、モテない奴はやっぱりモテないんだよな。


 まず、そういう人間は、基本的に性格が暗い。


 発言もネガティブなものが多く、話してても、ほんとつまんないんだよな。


 それに比べ、俺っちは太陽のように明るかったから、別段なにもしなくても、自然と女子が寄ってきてたな。


 バレンタインの時なんか、クラスの女子はおろか、他のクラスや上級生の女子からチョコをもらってたからな。


 それで、あまりにも多過ぎて食べ切れなかったから、もらえなかった男子たちに、一個百円で売ってたんだよな。ぎゃははっ!


 あと、同じクラスに藤田という面白い男子生徒がいて、俺っちはこいつと漫才コンビを組んで、毎週月曜日の昼休みに体育館で漫才を披露してたんだ。


 最初は、観客は女子生徒だけだったんだけど、そのうち男子生徒や先生たちも観に来るようになってさ。


 自分で言うのもなんだけど、素人にしてはめちゃくちゃ面白かったと思うんだ。


 多分、そのままお笑い芸人になっていたら、今頃は明石家さんまか松本人志の位置まで行ってるだろうな。ぎゃははっ!


 その時のネタで一番ウケたのが、俺っちが慌てふためいている演技をしてる時に、相方の藤田が「落ち着け!」と注意するんだけど、その時に俺っちが、餅つきをしてる演技をするんだ。

 そしたら、藤田が「だれが餅つけって言った!」とツッコンで、会場は瞬く間に爆笑の渦に包まれたってわけさ。ぎゃははっ!


 ということで、今日はこれくらいにするぜ。


 じゃあ、みんな。あばよ!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る