第9話 缶蹴りの思い出

 やあ、みんな! 俺っちだぞ。


 今回は、俺っちが小学生の頃によく遊んだ、缶蹴りについて少し語ろうと思う。


 知らない奴のために、缶蹴りを簡単に説明すると、まず最初にみんなでじゃんけんをして、負けた奴が鬼になるんだ。

 次にジュースの空き缶を、鬼以外の誰か一人が蹴って、それを鬼が元の場所に戻している間に、みんなが隠れるんだ。

 鬼は一人見つけるたびに、空き缶に3回タップし、全員見つけたところで、ようやく鬼から解放され、最初に見つかった奴が次の鬼になるんだ。

 

 このゲームの残酷なところは、たとえば、あと一人見つければ鬼から解放される時でも、最後の一人に空き缶を蹴られたら、捕まっていた奴らが全員逃げ出して、鬼はまた一から見つけなくてはいけなくなることだ。

 実は俺っちも、それで何度も痛い目に遭ったんだよな。


 俺っちの仲間で、意地が悪い奴がいてさ。

 そいつは、いつも最後まで隠れていて、俺っちが探している間に、いつの間にか空き缶を蹴られたりしたんだよな。

 それは俺っちだけでなく、他の奴らもやられていたものだから、ある日俺達は結託して、そいつを陥れる計画を立てたんだ。


 その概要は、最初のじゃんけんの時に、同じものを出すというものだったんだ。

 その際、勝つ確率は3分の1だったが、たまたま勝ったんだよな。

 それで、そいつが鬼になったんだけど、俺達はそのまま公園に行って野球を始めたんだ。

 そいつは、そんなことなど知る由もなく、俺達を探し回ってたんだよな。

 

 その後一時間くらいして、こっそり様子を観に行くと、そいつ、空き缶の前で大泣きしてたんだよな。

 その時は、子供心に、ひでえことしてるなって思ったよ。

 でも、中には、それを観て大笑いしてた奴もいたけどな。ぎゃははっ!


 その後、そいつは俺達が誘っても、2度と缶蹴りをしなくなったんだけど、考えてみると、それも当たり前だよな。

 誰だって、そんなひどい仕打ち受けたら、やりたくなくなるってもんだよな。ぎゃははっ!


 ということで、今日はこのくらいにするぜ。


 じゃあ、みんな。あばよ!

 

 


 

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