カラス -Valrhona-
突然ですが皆さん、カラスがなぜ光り物を集めるかご存知ですか?諸説あるようですが、メスの気を引くためにオスが集めるという説や単なる収集癖という説など様々あるようです。今からするのはある理由で光り物を集め続けた一羽のカラスのお話です。
あるところに一羽のカラスがおりました。このカラスも他のカラスと同様に光り物を集めていましたが、集めている理由が他のカラスとは違いました。このカラスは... 孔雀に憧れていました。幼い頃に見た孔雀の眩さに心奪われ、自分もあのようになりたいと思い、毎日毎日光り物を集めていました。それを知った他のカラス達は孔雀に憧れるカラスを嘲笑い、汚い言葉で罵り、時には暴力を振るったりしてきましたが、孔雀に憧れるカラスはめげずに毎日毎日光り物を集めました。雨の日も風の日も雪の日も台風の日でさえも... 毎日毎日光り物を集め続けました。自分が周りから浮いていたのは知っていました。最初はひどく傷ついたりしましたが、今では「沈んでいるより、浮いている方がいいや!」と思い、そう思い始めてからは少しだけ気が楽になりました。孔雀になるために光り物を集めるという目標を掲げてから数年の時が経ちました。今日も変わらず、いつも通り光り物を集めていました。いつもと変わらないルートで光り物を集めていると鳥の図鑑が捨ててありました。いつもならそんなものには目もくれず、光り物を集めるのですが今日はなぜかその本を手に取り、読んでしまいました。まずは自分たち「カラス」のページを開き、その後に憧れである「孔雀」のページを開き... 読みました。「孔雀」のページを読み終わり、カラスは驚愕の事実を知ってしまいました。同じ鳥類でも「科」が違ったのです。「カラス科」と「キジ科」
事実を突きつけられたカラスはパニックになり、現実逃避をし始めます。今まで通り、光り物を集め続ければ「孔雀」になれるはずだ!今までやってきた努力は無駄じゃないはずだ!努力は必ず報われると... 居ても立っても居られなくなり、カラスは真っ黒な闇の中、探しに行きました。「希望」という名の光り物を探しに...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます