「色」々な兎たち

黒:どーもー黒兎です。今日は友達の白兎くんと待ち合わせをしています。ですが、もう約束の時間を2時間ほど過ぎています... 誘ってきたのは彼からなのにですよ!あんなやつはうんこ漏らして死ねばいいんですよ。...なんてこと言ってたら来たみたいです。

白:ごめん!遅れた〜

黒:おせぇえよ!2時間も遅刻だぞ?なんだよ!なんで遅れたんだよ!!!!!

白:恐いよ... 兎という皮を被ったモンスターだよ、君は...

黒:うるせぇよ!早く理由を言えよ!猟銃で撃つぞ!

白:だから恐いって!あと、何で猟銃所持してるの?僕らは狙われる側であって、決して狙う側になることはないというのに...

黒:悲しいこと言ってんじゃねぇよ!ってか、まず理由を言えよ!

白:分かったよ。朝支度して家を出たら、空一面がキレイな青一色でさ... 今日もいい天気だなぁーって思って集合場所まで向かっていたら、青一色だった空に一つの陰り?いや、曇りが...

黒:なに?

白:真っ白な雲!

黒:あぁ、だから「陰り」を「曇り」って言い換えたんだ...

白:...で!その雲を捕まえて、元の青一面の空に戻すためにその雲を追っかけてたんだぁ〜

黒:はぁ?

白:だけども、追いかけても追いかけても捕まえることができなくってさ!だから渋々諦めてこっち向かったんだぁ〜

黒:なんだそのメルヘンな理由は!特殊な例過ぎて怒るに怒れないよ...

白:ごめんって!でも、まぁそうカリカリしないで!

黒:元凶のお前が言うな!

白:そういうところ、黄兎くんが「恐い!」って言ってたよ!

黒:そうなの?あの「今日なに食いに行く?」って聞いたら、大体「カレー!」っていう黄兎が?

白:赤兎くんは「悪は成敗せないかん!」って言ってたし...

黒:えっ?あいつ俺のこと、悪党認識なの?でもまぁいつも正義感が強く、どんなことにでも直向きなあいつらしいな...

白:緑兎くんなんて、「黒兎くんの前に立つだけで震える」って言ってたよ!

黒:それはさすがにビビりすぎでしょ!でも、いつもマイナスイオン出してて、何に対してもオドオドしてるあいつらしいな...

白:あのさ!今思ったんだけど...

黒:なに?

白:僕らの友だちってさ、色だけ見たら「ミニドラ」みたいだよね?

黒:色だけ見たらな!ってかそんなことはどうでもよくて、今日俺を誘ったのはどういった要件?

白:あぁ、それね... 実はさ!僕、好きな兎が出来てさ... その兎たちに告白しようかと思ってて...

黒:おぉー!すごいじゃん!かっこいいじゃん!頑張れよ!...ん?兎たち?

白:うん!兎たち

黒:えっ?二羽?

白:うん、二羽

黒:それはやめといた方がいいと思うよ?一羽に絞った方が...

白:どっちとも好きになってしまったんだから、しょうがないじゃん!止めようが無駄だよ!僕はどっちともに告白するんだ!

黒:いやー、一羽に絞った方がいいって!

白:なんで?

黒:だってさ、昔から言うだろ?「二兎追う者は一兎も得ず」って...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る