きせつかんのないおにく短編集
きせつかんのないおにく
新制度導入
20XX年、この国の人口はドンドン増加。
それに比例するかのように犯罪件数や自殺件数は年々増加していく一方...
それを見かねた国のお偉いさん方がある制度を作った。その名も「感情ATM」これを聞いただけじゃなんのこっちゃ分からないと思うので説明すると、犯罪や自殺が増えたのは年々増加する人口のせいももちろんあるが、それと同じくらいの割合で多いのが日頃のストレスなどで不安定になった心や思春期特有の過度な気にし過ぎ、心無いいじめなどから生まれる負の感情だと言われている。現に罪を犯した加害者からもそんな声が多くあった。それを聞いたお偉いさん方が作ったのがこの制度である。この制度の内容は金融機関やコンビニなどに置いてあるATMとシステムは一緒である。最初のタッチ画面で「喜」「怒」「哀」「楽」の中から「預けたい感情」または「おろしたい感情」を選び、タッチする。選択後、筐体からノズルが出てきて、預けたい場合はそのノズルを口に当て預けたい感情や思い、出来事を思いっきり叫ぶ。筐体から出てきたノズルは特殊なノズルなのでその時の凄まじいテンションや勢いで叫んでも壊れたりはしない。もちろん防音もバッチリ!
次におろしたい場合は筐体から出てきたノズルを頭に当て、3分もすれば当人の中に選択した感情がインプットされる。この筐体を設置した結果、犯罪件数はみるみる減少していったが、自殺件数はあまり減らなかった。その理由として何かを生み出す人、またはそれを生み出し続ける人やそれを目指す人々が自殺するケースが多い。その人たちは自分が持った様々な感情や閃きを元に画家は白いキャンバスに脚本家や芸人はノートやPCにそれらをぶつけ、作品を生み出すため感情をATMに預けることなく感情のみ昂り、閃かない人々が結果的にその感情を白いキャンバスやノートやPCではなく、自分自身にぶつけてしまうのだそうだ...
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