先輩曰く、ビッチ越に抜き頼むことなかれ
穂麦むぎ
先輩曰く、ビッチ越とヤることなかれ
バイクに乗っていると風で涼しいが、こうやって公園のあまりひろくない駐車場に十数人でたむろしていると暑いものだ。
俺、新田は高校で一緒につるんでいる友人に夜のツーリングに誘われ、やってきている。
友人は誘った義理と多大なる優しさでおそらくこのメンバーを集めたのであろう”先輩”なる人とその幹部?連中に俺を紹介してくれた。
いま彼は、そのまま談笑中だ。俺はひっそりとそこから離れて自分のバイクの横で車座して待機していた。
俺らがいまのところ最後に集まったメンバーだが、だれかを待っているのかいまだに出発の気配はない。
しばらくして、すぐ近くに人が通る気配を感じて顔を上げる。
すると、俺の前を通る二人のJKがいた。
二人とも俺の角度からでもパンツが見えそうなミニスカでボタンを留めていないのではなく、留められないのでは?と思うほどの胸を携えている。
目で追っていると、彼女らは先輩グループと落ち合った。まだ俺の友人はそのグループにあった。
先輩グループと友人、彼女たちは大きく笑いながら話をしていた。友人も多くしゃべっているみたいだった。
しかし、その会話はあまり時間をかけずに終わった。そして、一斉にチラリと俺のほうをみた。友人が駆け寄ってくる。
友人が傍に来るころにはまた先輩グループは会話を再開させていた。
友人が声をかけてくる
「悪い!、ちょっと用事できたから、俺ここで抜けるわ!。気まずいなら帰ってもいいって先輩も言ってたから!、、じゃっよろしく!!」
そう彼は立ったまま俺にまくしたてるとまた背を向けてグループに駆けていった。
「ぉい・・・」
あまりにも突然だった。この場で唯一の会話ができる相手が何処かへ行くことが怖くなって、柄にもなく取り乱した。
やっとの思いで立ち上がった時には俺の見えるところから友人はいなくなっていた。
残るか帰るかも決められないまま、俺は先輩グループに近寄った。
「あ、新田君。ごめんね、アイツ行っちゃったみたい。一人だと心細いだろうし、全然帰ってもらってもいいから。ついてくるっていうなら歓迎するし。」
先輩に優しく声をかけられ、俺は少しだけ落ち着いた。
「あ、あのう、どうしましょう、、、。というか、俺の友達はどこへ行ったんですか?」
「ちょっとアレだけど、いっか。さっきいたJKの二人組わかる?」
「分かります。めっちゃエロい娘たちですよね。」
「そうそう。アイツは彼女たちとヤりに行っちゃった。ごめんね。」
「マジっ、え、そんなぁ」
「いやいや、新田君。新田君はあの二人の顔覚えているよね。絶対に彼女たちに誘われても乗っちゃいけないよ」
「え、どういうことっスか。」
俺は驚いて、ちょっと羨ましくて初めて会う先輩を問いただしてしまった。それでも、先輩は怒る気配なくおだやかに答えてくれた。
「彼女らはさ、俺らの上の先輩が最初に囲ってさ、みんなで楽しくやっていったんだけど。今はさ、先輩たちはとんでもない
先輩の話では俺には何が怖いのかよくわからなかった。顔にそう書かれてたのか、先輩は念を押してきた。
「彼女らにお世話になった子たちは、いまはみんな女性恐怖症だよ。EDになった、ていう子もいるくらいだ。あ、僕とかが彼女らと普通に会話してるのは、俺が彼女いるからだからね。」
俺は理解はできないながらも、いちおうその注意を受け取ることにした。
「気を付けます。」
「うん、気を付けて!、とうかこの後、君どうする?」
自分の問題に戻ってきた。しかし、この先輩は優しそうだし、初対面の私にこんなに話してくれている、ここで帰っても暇だ。ということで、一瞬のうちに決めてしまった。
「ちょっとだけついてってから、帰ろうと思います。」
「そっか、じゃあ楽しんでってよ笑。後ろのほうにいてくれていいから。」
俺は「わかりました。ありがとうございます。」とうなずきながら、チラリと友人たちが去ったであろう方向に目をやった。
「新田君に、そういう趣味がないなら、やめときな。本当に。彼女たちはビッチ越だ。ビッチ越とヤることなかれ、てね。」
「肝に銘じときます」
そう返すと、先輩はさわやかな笑い声でバイクのほうに向かっていった。
俺も踵を返して自分のバイクに向かう。友人への尋問を考えながら。
先輩曰く、ビッチ越に抜き頼むことなかれ 穂麦むぎ @neoti_2020
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