夏祭り
お祭り囃子に、蝉の声。水滴纏う、ラムネの青い瓶。紅い提灯、狐のお面。連れ立って歩く、社まで連なる鳥居の路。
「今夜の役目を終えたら、一緒に祭りをまわりましょう」
カラカラ鳴くのは風車。繋いでいた手をそっと離した。
笛の音、太鼓、舞う狐。槍を彩る五色の布が天を突く。篝火揺らす影、黒い杜から聞こえる水音。平穏を望む人々の願いを受けながら、想うのは、願うのは──。
役目を終えて駆けてゆく、彼の後ろに二つの人影。神と小鬼が微笑んだ。
カラカラ鳴くのは風車。駆け寄る足音、振り向く彼女。表情隠す、狐のお面。
「……おまたせ」
「ずっと、お待ちしておりました」
お面をずらせば、ほんのり色付いた頬。
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