【KAC20229】二個目 お題「猫の手を借りた結果」くらえ、肉球パンチ!

テリヤキサンド

くらえ、肉球パンチ!

スキル「猫召喚LV1」を手に入れました。


なんだこれ?

今日はスキル授与が行われるために、友達と教会に来ていた。

他の子は剣術、火魔法、回復魔法など日常でも困らないスキルが出ている中、このスキルである。


 「あの司祭様、猫召喚とはなんでしょう?」

 「召喚系スキルでしょうかね、使えますか?」

 「は、はい、猫召喚。」


スキルを発動させると猫の肉球型の魔法陣が出て、そこから一匹の白猫が出てきた。


 「猫だね。」 

 「猫ですね。」


試しに僕が抱き上げて、司祭様に全身を見てもらう。


 「うん、猫以外には考えられないね。」

 「そうですか。」

 「なにかしらあると思ったんだけなあ。」


司祭様が猫の顔に近付き、真正面から見ていると


 「ニャッ!」


司祭様の目に両手の肉球を押し当てた。


 「わああ、司祭様、こら、離しなさい。」

 「ニャニャニャ。」


ゆすってもみても離さないので後ろにさがって、やっと離れた。

肉球が押し付けられた司祭様の顔には目のところに肉球の後がついていた。


 「司祭様、すいません!後でしかりつけますので・・・。うん、司祭様?」

 「・・・。」


あれ?司祭様が反応しない。そうなるとこの猫なんかやっちゃったんじゃないか!ヤバイヤバイ。


 「司祭様、大丈夫ですか。」

 「ネコ・・・。」

 「うん?何をいってるんですか?」


ぼそぼそと何かを言い出した司祭様に耳を寄せてみる。


 「ネコサイコー!」

 「うわああ!」


突如叫びだした司祭様を抑えるためにスキル授与は中止して、返されることになった。


 「で、お前はまだここにいるんだよなあ。」

 「ニャー?」


召喚した猫はそのまま、居続けて、今、ねこじゃらしで遊んでいるワケだ。


 「そして、猫召喚のレベルが上がったけど、これでどうなるんだろう。うーん、やってみるか、猫召喚。」

また、肉球型の魔法陣から猫が出てくる。今度は黒猫だ。

次も使ってみると反応しない。

レベルで呼べる数が決まるのかもしれない。

でも、レベルって何で上がるんだ?


翌日、猫二匹を連れて、散歩に出かける。

すると、いかにも悪人のような男が僕の行く手をさえぎる。


 「なあ、君、ちょっと金貸してくれないか?」

 「いえ、僕お金ないですよ?」

 「ああ、めんどくさいな、さっさと出しな!」


男は怒りだし、懐に手をいれ、何かを出そうとする。

ヤバイ!ナイフか!?と思い、身構えていると連れてきていた白猫が相手の顔めがけて、ジャンプする。


 「うわ、なんだ!」


男の目に向け、肉球パンチをお見舞いした白猫はそのまま、目にピタリと張り付き、男がいくら振り払おうとしても取れなかった。

やがて、男の動きが緩くなったところで白猫の手が離れる。


 「おい、お前無茶するなよ。」

 「ニャー。」


本人は気にしたこともなく、呑気に返事をしている。

そういえば、男の様子は・・・。

あれ?なんか昨日同じ光景をみたような・・・。


 「ネコサイコー!」

 「うわ、またか!」


男はその場で叫ぶと独特のダンス?のようなもの踊り、ピタっと止まるとこちらに向き、頭を下げた。


 「この度は申し訳ありませんでした。ネコ様のおかげで目が覚めました。これからは真面目に働きますので、どうかその時はまたお願いできますか、ネコ様。」

 「ニャーーー。」

 「ありがとうございます!では、失礼します!」


見事な敬礼をて男は去っていく。なんだったんだろう・・・。うん、またレベルが上がってる?もしかして・・・。


そこからは僕は猫召喚をして、悪人を中心に肉球パンチをお見舞いしていき、その度にネコ信者が増えていき、それに合わせて、猫も増えていった。

いつの間にかその信者の中に司祭様がいて、教祖みたいになっていたのは若干引いた。

まあ、ネコをめでたいだけのようだし、問題ないよね。


そんなこんなで僕はネコの手を借りて、ネコ信者を増やしていく。その結果がどうなるかはわからない。

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【KAC20229】二個目 お題「猫の手を借りた結果」くらえ、肉球パンチ! テリヤキサンド @teriyaki02a

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