第30話


 10年後。



 春の暖かい風が吹く朝、山道を少し登った所にある墓地。




「ママ、きたよ」



 そこにはれいの母親と、学生服に身を包むあおいの姿が。



「おばあちゃん、ママってどんな人だった」



「‥‥そうね、れいはとても優しい子だったわ。でも優しいが故に一人で抱え込む事も多かったみたい」



「だから死んじゃったの?」



「‥‥おばあちゃんには分からないかな」



「僕ママの顔覚えてないんだ。アルバムも僕の写真ばかりで‥‥」



「あおいの事大好きだったからね」



「でもよく手を繋いで歩いてた事は覚えてるし、ご飯の時に優しく微笑んでくれてたような気もする」



「‥‥そろそろ行こっか。入学式始まっちゃうわ」



「うん。ママ、また来るね」




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