第27話


 目が覚めると、天井が見えた。



 あぁ、死ねなかったんだ。



 私は病院に運ばれていた。


 紐が細くて途中で千切れたらしい。


 警察が家族に連絡をして、竜也くんが迎えに来てくれた。


 帰っている道中もずっとお互い無言だった。


 あおいは実家に預けているらしく、家に帰ると竜也くんは私に話があると言ってきた。



「れい、大丈夫?」


「うん」


 心配してくれてるんだと少し嬉しかった。

 次の言葉を聞くまでは。



「大丈夫なわけないよな、お前頭おかしいもん、離婚してくれない?」


 私はついに言われたかと妙に納得していた。むしろ竜也くんから言ってくれてよかったと思っていた。


「わかった」


「あおいは俺が連れて行くから」


「え?なんで?」


「お前といると悪い影響を受けるだろ、それにお前一人で育てれるのか?まともに稼ぎもないくせに」


「あおいは連れて行かないで、お願い」



「死のうとしてるやつに任せられるわけないだろ」



「もうしないから‥‥だからあおいだけは」


「無理だから」


 竜也くんの顔は怖かった、まるで心がないかのような冷めた目を私に向けていた。


 ダメだ、これ以上言ってもこの人は聞く耳をもたない。


「会わせてはくれるんだよね」


「お前次第だな」


「あおいに会えるように頑張るから、私からあおいを奪わないで」


 

 竜也くんは私に離婚届を書かせると、次から次へと荷物を運び出し、最後に私の携帯を投げて出て行った。



 シーンとする部屋で一人絶望していた。



 あおいに会いたいよ‥‥。


 

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