第26話


 しばらく耐えていた。


 しかし、ある夜竜也くんが寝言で女の名前を呼んでいた。


 それを聞いた私はもう限界だと思い、竜也くんを起こす。



「ちょっと起きて」


「んー、どうしたの?」


「あのさ、さっき寝言で女の名前呼んでたよ」


「そんなわけないじゃん」


「本当だよ、ななって誰」


 すると、一瞬目をそらした。


「ななって前私が写真みせた女でしょ」


「はぁ、それがなに?」


「え?」


「だから、それがなんだってんだよ!!」




 顔に鈍い痛みが走る。


 これが竜也くんの本性なんだ。


「‥‥やめてよ」


「は?!お前が悪いんだろ?何回も浮気しやがって」


「ごめんなさい‥‥」


 私は動悸がして震えが止まらなかった。



「お前なんか、やれれば誰でもいんだろ?俺に言える立場か?嬉しそうに女磨きやがって、またどうせあいつと会うんだろ?」




 私はショックだった。



「ごめ‥‥‥」



 私は痛みに耐えながら竜也くんを怒らせてしまった事を後悔していた。



 竜也くんはずっと私の事をそうゆう目で見てたんだ。


 でも確かに悪いのは私、私が竜也くんをこんな風にしたんだ。そう思うと辛くて苦しかった。



 途中物音で起きてしまったあおいを竜也くんが寝かしつけに行ったすきに私はカバンだけ持って家を出た。



 もちろん行くところなどない、携帯もないから連絡も出来ない。



 私はコンビニに入りロープを探す。


 見つけたのはロープとは言えないような細い紐、なんでもいいやと思い購入し、フラフラと歩く。

 

 あおいとよく行く公園に着いた私は辺りを見渡し、丁度いい高さの木を見つけ、そこにロープをくくりつける。


 

 私はとにかく現実逃避する事しか考えていなかった。こんな辛い思いするくらいなら死んだ方がマシだと。



 躊躇いはなかった、むしろここまで頑張った私を褒めてあげたかった。


 来世ではもっと自分を大切にしますと謎の誓いをしてジャンプした。


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