幽霊?

 田舎のいとこの家に遊びに行った、小さな頃の夏休みの話。

 ちょうどお昼にやっていた心霊特集物のTVを観た後、いとこと私は「私達も幽霊見たいねー」的な話題で盛り上がっていました。

 すると大きな家の前にひらけた庭に面した曇りガラスの戸のクリアな窓に、私は白い服を着た若い女性が通り過ぎていくのを確かに見ました。服装は古い様に感じました。

 広い庭はちょうど外の道から右から左へと通り抜けられますが、明らかに家の敷地なので人が通り抜けていくのは奇妙。

 そして私は観たばかりの心霊番組の雰囲気も手伝って「幽霊では?」という想いを抱きました。

 ガラス戸は長い縁台につながっているので、私は女性が去った方向の隣の部屋に行って、閉まっていた曇りガラス戸を開放。

 若い女性はいませんでした。

 庭は見通しがよく、歩くスピードから考えるとまだ庭にいるはず。

 なのに女性の姿はありませんでした。

 私は「幽霊を見たらしい」という体験に心躍ると共に、若い女性があまりにも普通の姿で全く幽霊っぽくなかったのに不満を覚えていました。

 もしかしたら何らかの要因が重なっただけで彼女は幽霊でなかったかもしれません。

 たまたま迷い込んで私の予想より早く庭を出ていっただけかもしれないし。

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