UFO

 子供の頃、UFOを見ました。

 宇宙人の乗り物ではなく「よく解らない、空を飛ぶもの」という意味での未確認飛行物体。

 その頃ちょうどUFOブームで、私も「UFOを見たい!」と思っていた頃なのですから願いが叶ったのです。

 母親との買い物で最寄りの駅前に出かけた私達は、長い間待たされる大きく複雑な交差点の信号につかまってしまいました。

 夕景の交差点は、周りが大勢の人で混雑。

 UFOを見たいと思っていた私はその望みを胸に遠方の駅の景色を眺めていました。

 すると、オレンジに燃える空に不思議な光を発見。いわゆるUFOっぽい光です。

 気づいているのはこの混雑の中で私だけみたいでした。

 私は騒ぐのではなく、頭の中でUFO本にあった「UFOかそうでないかの見分け方」を頭の中で急いで復唱。

 色色なチェックをくぐりぬけ、どうやら本当にUFOらしいという確信が芽生えました。

 確信が持てた後も、周囲の人間には知らせませんでした。

 色色と恥ずかしかったのともし否定されたらそうしようと思ったのです。

 UFOは私の見ている前で移動開始。

 夕景でゆっくり飛びながらビルの影に隠れ、雲に隠れ、そして大きな二度目の雲に隠れた後、それっきり出てきませんでした。

 その頃、ようやくに駅前の信号が青になって私達は駅前へと歩き出しました。とうとうUFO目撃を周囲にも母にも知らせませんでした。

 それからしばらく経っての事。

 学校のある友達とUFO話になった時、私はその体験を打ち明けました。

 すると友達も自分のUFO目撃譚を教えてくれました。

 思わず話が合ったのに喜んで二人で教え合っていましたが、その時、妙な事に気がついたのです。

 慎重に互いの報告を吟味した結果、私達は別別の場所から同じUFOを目撃していたと解りました。

 この貴重な体験は他の人には教えず二人だけの秘密となったのですが、今思うとその友達は私のUFO話に上手く話を合わせてくれただけだと思っています。


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